世界のSTEAM教育

2019.07.31

ニュージーランド 固有の文化をSTEAMで学ぶ

出典:NZ教育省HP

ニュージーランドの「テ・クラ・オ・マタピヒ」は1~8年生が学ぶ学校で、ほとんどの授業がマオリ語で行われています。この学校のビジョンは、生徒たちにマオリの世界とさらに広い世界で自信を持たせることです。

テ・クラ・オ・マタピヒの生徒たちは、みんなデジタルテクノロジーに触れることができ、STEAMプログラムが全学年で提供されています。プログラムの発展は、Board of Trustees (保護者の中から投票で選ばれた代表者から成り、学校運営に関わるグループ)の支援によって支えられています。

この学校は、デバイスの充実を強調してはいません。技術の使用は、あくまでその必要性に応えるためです。目標は、生徒たちを消費者から創造者に変えることです。

eラーニングコーディネーター

この学校には、eラーニングコーディネーターがいます。これは、Board of Trusteesがデジタルテクノロジーを教育で使うことの価値を認識して設けたもので、資金的な面も含めたカリキュラムの管理ができます。テ・クラ・オ・マタピヒでeラーニングコーディネーターを務めるサンディは、マオリ語を話す「カイアコ」(先生の意味)と協力して授業を進めます。サンディが英語で説明すると、カイアコがマオリ語に翻訳します。こうして、マオリの言語や文化に詳しいカイアコとeラーニングやSTEAMに強いサンディがそれぞれの強みを生かしているのです。

think, design, createモデル

テ・クラ・オ・マタピヒでは、サンディが考案した「think, design, createモデル」が用いられています。一つめの「think」で、まず学びのアイディアが導入されます。続いて、二つ目の「design」で学び方のデザインや適切なコンディションの提供が行われます。生徒たちはここで必要なスキルを得て、教室に持ち帰って学びに生かします。三つ目の「create」で最終的な成果物を作ることにより、達成感を得られます。この段階では、生徒たちは聞き手のことを考えるよう促されます。手段はいろいろですが、必ずしもデジタルである必要はありません。最後の段階が、「metacognition」(メタ認知)です。ここで中心となるのは、生徒たちの学び方です。教師たちは生徒の強みと必要とすることを見つけ出し、何か学習やコミュニケーションの障壁が見つかれば、取り除く方法が取り入れられます。

カリキュラムの例

ストップモーションのアニメを作る(5年生)

出典:NZ教育省HP

まず、サンディが作成したタスクをカイアコがマオリ語に翻訳します。教室では、生徒たちはYouTubeのビデオでアニメの作り方を学びます。そして、粘土や人形といった様々な素材を使って実際に試し、さらに楽しいものにするために工夫します。アニメ制作の過程では、時間をはかるために計算したり、物体がどうやって動くかを考えたりと、様々な領域の能力を使います。また、字幕やナレーションをつけることで言語能力も鍛えられます。

Scratchでビデオを作る(4、5年生)

マオリに伝わる物語を題材に、ビデオを作ります。まずは、1冊の本を読んでキャラクターを理解します。それから、物語を理解するために話の順序を整理します。次に、スクラッチの使い方を学びます。この時大事なのが、十分時間をかけて複数の小さな課題をこなすことです。これにより生徒たちは、コーディングで様々な表現をすることに自信を得ます。

参照記事:ニュージーランド教育省 “STEAM at Te Kura o Matapihi”

(文:佐藤琴音)