STEAM業界におけるジェンダーの問題は、重要なトピックの1つです。
STEM分野で活躍する女性の割合は、どのくらいなのでしょうか?2016年にユネスコが行った調査では、全世界で科学や研究開発の仕事についている女性の割合は、わずか29.3%という結果でした。
どうしてSTEAM分野で働く女性の割合が少ないのでしょうか。海外では大学時代に学んでいた専門分野に関連した仕事に就くことが一般的ですが、例えば、学生時代にSTEMに関連した分野を学んでいるアメリカ人女性の割合は約36%でした。米国教育統計センターが調査した大学の専攻(男女内訳)を見てみると、社会科学や生物学などといった科目は約半数が女性ですが、工学系やコンピュータサイエンスを学んでいる女子学生は全体の約25%と、男性に比べてとても少ないです。このように、大学の専攻分野の男女比率の偏りも関連していると考えられます。
そして、世界中がSTEAM/STEAMにおけるジェンダー問題を重く受け止め、それぞれの対策を考えています。中でも、オーストラリア政府は、2019年にSTEM分野におけるジェンダーの平等を実現するために、2つの政策を発表しました。
オーストラリア政府による女性のエンパワーメントSTEM戦略活動(the Australian Government’s Advancing Women in STEM strategy)と、女性のSTEM 10ヵ年計画(the Women in STEM Decadal Plan)です。これらの施策では、初等教育から高等教育までの女子学生に対して、STEMへの興味を持たせる取り組みを行ったり、社会に出てからもキャリア構築のサポートを行うと明言しています。
政府としての動きがある一方で、STEM/STEAM分野で活躍できる女性を増やしたいと尽力する企業や団体も数多くあります。例えば、オーストラリアのNPO 法人「Code Like a Girl」は、主にプログラミング教育の機会を提供しています。プログラミングの知識やツールの使い方だけでなく、就業のサポートを通じて、女性がSTEAM分野でのキャリアを実現できるように支援しています。
また、小学生向けにプログラミング言語を学ぶ合宿を開催したり、オンラインで学べるコーディングのコースも提供したりしています。そのほか、学生向けのインターンシップの募集も受け付けていたり、オフライン/オンラインでのイベントを通じて、世界のトップ企業でデータサイエンティストやブログラマーとして働く人々の講演会を聞いたり、STEM/STEAM関連のさまざまなトピックでディスカッションできる開催を設けています。
「Code Like a Girl」は、オーストラリア政府や国内の企業から支援を受けていていますが、オーストラリアでは官民一体となって、STEM/STEAM分野で活躍する女性を増やそうとする試みが行われているのです。
<参照サイト>
・CATALYST
https://www.catalyst.org/research/women-in-science-technology-engineering-and-mathematics-stem/
・Australian Government
https://www.industry.gov.au/data-and-publications/advancing-women-in-stem-strategy/2020-action-plan
・Code Like a Girl