令和7年1月25日、大分県内の高校生約140名が参加した「OITA STEAM FESTA」が大分県教育委員会主催で開催されました。本イベントは、大分県が令和3年度から取り組む「大分県STEAM教育推進事業」の一環として実施され、STEAM教育を体験する最先端の学びの場を提供することで、高校生が未来の可能性を広げる貴重な機会となりました。(主催:大分県教育委員会・企画運営:(株)Barbara Pool・協力:一般社団法人STEAM JAPAN)
「超えよう、未来の予測を。」をテーマに掲げた本イベントでは、高校生たちが社会課題に向き合い、分野横断的な視点で未来を想像し、考える力を育むための講座やワークショップが行われました。イベントの様子を紹介します。
公式ウェブサイト:https://www.oitasteam.jp
東京大学先端科学技術センターの大津山氏を講師にお迎えし、大分県の未来を切り拓く視点についてお話いただきました。また、埋田氏からも、大分が抱える現代の諸問題にどのようなアプローチで取り組むべきかについて、自治体や専門機関の取り組み事例を交えた内容が共有され、参加した高校生たちは未来を見据えた学びの意義について深く考える機会を得ました。
世界を変える発見も、世界を開発する発明も、最初は小さな疑問や身近な出来事からスタートしています。生徒の身近な気づきや違和感から、 リサーチクエスチョンや、ビジネスアイデアクエスチョンとして、考え、発表しました。実際に参加した生徒からは、「なぜ、部落差別はいまでも存在するのか」という問いに対し、差別を解消し、誰もが尊重される社会を実現するためには、適切な教育や人材育成が不可欠であるという意見が出されました。
また、「AIに職が取られることは、必ずしも悪いことなのか」という視点も示されました。人口減少が進む中で、人材不足が深刻化する過疎地域にこそ、AIを活用した教育が必要ではないかという考えが共有され、大分の未来に向けた新たな可能性について意見が発表されました。
イベントの目玉の一つである「STEAM課題研究特別講座」の最終発表会では、7月から半年間にわたり、学校や学年の枠を超えて探究活動を行ってきた高校生たちが、自らの研究成果を発表しました。
発表内容は、実社会と結びついた社会課題の探究であり、創造的なアイデアや独自の視点が盛り込まれた研究が多く見られました。審査員からのフィードバックも非常に好評で、参加した生徒たちにとって大きな学びと自信につながる機会となりました。
午後からは、「宇宙」「水素エネルギー・ロケット」「生成AI」「STEAM・SDGs」4つのテーマ別ワークショップが行われ、それぞれの分野で専門家の講師陣から直接学ぶ貴重な機会でした。
Aコース:「SPACE × 大分の未来」 (講師:株式会社Space Food Lab ・宇宙STEAM教育アクセラレーター 菊池 優太氏/国東高校 藪亀教諭)
宇宙と大分の未来をテーマにしたワークショップでは、大分空港に宇宙飛行体が還ってくる未来を想定し、落下実験を通じて宇宙と大分のつながりを考えました。生徒たちは、宇宙開発の可能性を体験しながら学びました。
Bコース:「水素エネルギー × 大分の未来」 (講師:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 鳥山 康弘氏・西田 幸氏/協力:大分県 新産業振興室 次世代エネルギー・医療機器産業班 横路哲也氏/STEAM JAPAN)
水素ロケットの実験を行いながら、大分県内における水素エネルギーの可能性を探る内容で、生徒たちは地球規模のエネルギー課題についての理解を深めました。
Cコース:「生成AI × 大分の未来」 (講師:株式会社メロン 共同代表CTO ・上智大学非常勤講師 本田 崇人氏/協力:STEAM JAPAN)
生成AIを活用した未来のアイデア創造のワークショップでは、AI技術を実際に体験し、生成AIがもたらす可能性と生成AIを使う上で大切な点について学びました。生徒たちは、大分県の魅力が伝わるキャッチコピーづくりや、大分県をテーマにした音楽を自分たちで生成AIを活用して制作し、発表しました。
Dコース:「STEAM × 大分の未来」 (講師:STEAM JAPAN 岡 佑夏氏/東京学芸大学 大谷 忠氏)
SDGsをテーマにしたワークショップでは、STEAMの学びのプロセスを活用し、大分の高校生による大分の未来のこれからについて考えました。大分県版のSDGs アクションプランを考え、社会課題に対する高校生の高い関心が伺えました。
「OITA STEAM FESTA」は、STEAM教育を通じて高校生に未来を想像し、社会課題に取り組む力を養うための重要な機会となりました。参加した生徒たちは、実社会とのつながりを感じながら、自らの可能性を広げる貴重な体験を得ることができたと大好評でした。
本イベントを通じて得た知識や経験は、次世代を担う高校生たちが未来に向けて一歩を踏み出す大きな力となるかもしれません。私たちもまた、大分県のSTEAM教育推進事業を通じて、今後さらに充実した学びの場を提供していくことの重要性を再認識しました。
STEAM JAPAN では、STEAM教育の自治体導入を進めています。STEAM教育の導入にご関心のある方(自治体、公教育関係の皆様方)は、下記よりお問い合わせください。
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