2024年5月8日から10日の3日間、東京ビッグサイトで日本最大の教育展示会「EDIX」が開催されました。その中で、現在、教育の大変革を遂げている渋谷区の取り組みとして、「探究×デジタル・テクノロジーを融合させた『未来の学校』プロジェクト」をテーマに講演が行われました。日本全国からも注目される渋谷区の先進的な取り組みについて、STEAM JAPANが基調講演の一部をお届けします!
講演 登壇者3名
講演前半では、長谷部区長より「未来の学校」プロジェクトの全貌について語られました。渋谷区では、教育環境の向上や探究的な学び、デジタルを活用した新しい学びへの挑戦をハードとソフトの両面から一体的に進める教育改革「未来の学校」プロジェクトに取り組んでいます。
プロジェクトの内容として、最新のテクノロジーやコンテンツを活用した1対1の時間を重視する対応や、老朽化した学校施設の計画的な建て替えを進め、100年続く地域の新たなコミュニティの核を作っていく計画など、さまざまな取り組みが紹介されました。また、固定化された学びの概念を見直し、新たな学びの構築を目指す「未来の学校」は、渋谷区の未来の学校のビジョンを示す「渋谷区教育大綱」に基づいた取り組みであることが強調されました。
■渋谷区教育大綱
渋谷区では、2024年4月から全小中学校で文部科学省の授業時数特例校制度を活用し、 総合的な学習の時間の授業時数を増やし、探究「シブヤ未来科」*を充実させていきます。これにより、渋谷区教育大綱で掲げる「一人ひとりにそなわった、自ら学ぶ力を、信じる」ことから始まる子どもが主語となる学びに転換していく取り組みが強化されていきます。
*探究「シブヤ未来科」関連記事はこちら:
全国初! 渋谷区の探究「シブヤ未来科」の挑戦
講演後半では、こういったさまざまな革新的な取り組みを実現するために、学校や教員へのサポートの重要性が強調されました。
実際に、渋谷区ではすでにさまざまな対応が取り入れられています。
対応の一つとして、伊藤教育長からは、昨年から水曜日の午後の時間をTLD(Teacher’s Learning Day)とし、全学校で先生たちの学びの時間に充てていることが紹介されました。また、毎月開催している校長会の中では、1時間は校長先生たちのための研修の時間が設けられています。校長先生や現場の先生方も含めて、積極的に学びの機会が提供されています。
また、東原名誉教授からは、昨年3月に発表された教員向けの「探究ハンドブック*」についても言及がありました。これは渋谷区教育委員会がオリジナルで制作した教員向けのサポート資料で、渋谷区の全小中学校に配布され、探究の時間が大幅に増える先生方にとってのバイブル的な存在となることを目指しています。
(*2024年3月 発行:渋谷区教育委員会 監修:信州大学名誉教授 東原義訓 編集:株式会社Barbara Pool)
渋谷区と渋谷区教育委員会が一丸となって取り組んでいる「未来の学校」プロジェクト。この日本初の取り組みは、各地域からの注目度も高く、講演当日は会場も満員の中、熱意のこもった発表が行われました。日本全国の教育に新しい風を吹き込むプロジェクトとして、今後も期待が集まりそうです!