【特別企画】実践こそがSTEAMの真髄。「STEAM JAPAN AWARD」を企画したワケ|後編

2020.11.28│STEAMレポート

【特別企画】実践こそがSTEAMの真髄。「STEAM JAPAN AWARD」を企画したワケ|前編 はこちら

STEAM JAPAN AWARDのきっかけは、マスク制作のお二人

写真左)石田翔梧さん、写真右)湯野拓也さん

テレビなどからコロナ禍でコールセンターに勤務の方々の大変さを知り、自分たちでも何かしたいと考え、環境とサステナビリティを前提にしたクリアファイル製マスクの制作を開始。

 長方形に切り抜き、半分に折って立体マスクの形にしたものに横向きの切れ込みを入れ、笑った口元に見えるようにデザインされた逸品は、合計30個も作られ、感謝の気持ちを記した立体手紙と共にコールセンター職員へと贈られました。

このエピソードを聞いて、STEAM JAPANでも早速インタビューを実施し、お二人の人となりや考えに直接触れました(インタビュー記事はこちら)。

 印象的だったのは、先生との関係性を語る湯野さんの言葉。

湯野さん:「僕は先生とデザインコンペの打ち合わせをしたりすることも多いので、所謂「先生」というよりも、もっと身近な存在に感じています。また、先生が生徒に教わるという関係性もいいと思います。みんなで考えるその中の一人の意見が先生であるというのもいいなって思います。」

 既存の常識にとらわれず、先生と生徒という役割を反転させ、相互補完的な関係性で捉えるという柔軟な視座こそが、自分たちでできるマスク制作という実践へと自然に繋げたのだと感じます。

 STEAM JAPAN編集部一同はお二人のエピソードに大変感銘を受け、「こういう人たちにこそ、もっとスポットライトを当てたい」と強く思い、STEAM JAPAN AWARDの具体的な企画へと進んでいきました。

様々なSTEAM実践例

STEAM情報を発信しているSTEAM JAPANには、様々なSTEAM実践事例が集まってきます。

例えばこちらは、町田翔さん発案の「HELP CANE」。町田さんが視覚障がい者にTA(ティーチングアシスタント)をしていた際に、日常生活における不便なこととして「ヘルプサインの普及率の低さ」を知ったことから開発されたものです。

 視覚障がい者が何か助けを求めるときは、持っている白杖を頭上に持ち上げてヘルプサインを出すことが、一部の団体により発信されています。でもこれを知っている人は残念ながら多くなく、一般的に普及しているとは言えません。

 そもそもSOSを伝える方法として何が適切かをゼロベースで考えた際に、町田さんが目をつけたのが、日常でよく目にする回転灯でした。救急車やパトカーの回転灯にヒントを得て、回転灯を取り付けた白杖を開発。日中・夜間を問わず誰でもSOSだと認知できるデザインを白杖に組み込ませました。

 日常に潜むペインポイントに目を向け、既存アイデアの組み合わせからイノベーションを実現する、まさにSTEAMな取り組みです。

 こちらは、「もし現代にモーツァルトがよみがえったら」をテーマに制作された音楽アルバム「Ten Million Nights」(marimoRECORDS)です。

 日本ヒューレット・パッカードの全面的な技術協力のもと、18名の高校生が700曲以上にも及ぶ膨大なモーツァルトの楽曲をAIに学習させ、モーツァルトが生み出すであろう「新曲」を、最新の音楽・映像技術を通じて豊かに表現するという、非常にクリエイティブな取り組みです。

 ポイントは、高校生の皆さまが元々はAIのエキスパートではなく、お互いを知っていた仲でもなかった点。学校も違えば学年も異なる中、慣れないAI技術とコラボレーション作業に奮闘して、最終的なメロディをクリエイター達と一緒に作り上げていった体験は、まさに実践を通じた学びであり、STEAMの真骨頂だと言えるでしょう。

 もちろん、上記のようにテクノロジーを活用したものだけではなく、ピアノの演奏を通じて介護施設にエンタテインメントをもたらした事例や、殺処分される動物を減らすための里親を探すプロジェクト事例など、「既存の課題を解決するために実際に行動した解決支援の取り組み」そのものが、STEAM実践者としてフォーカスしたいものだとSTEAM JAPANは考えています。

STEAM文化のエコシステム醸成に向けて

ここまでお読み頂いた方は、「STEAMは実践してこそ、その真価が発揮される」ことがお分りいただけたかと思います。

 この「STEAM実践文化」を定着させるためには、ただ情報発信をし続ければ良いというワケではありません。私たちSTEAM JAPANは、Webメディアや各種SNS、紙媒体を通じた情報発信のみならず、一般社団法人STEAM JAPANを設立し、教職員研修や国の活動といった公教育活動のフォローも実施して、学びの提供サイドからのSTEAM化も推進しています。

 また、情報をキャッチした子ども達がSTEAMを実際に体感できる場として、今年から地域探究×共創プログラムサービス「STEAMxSDGs Co-creation future」もスタートさせています。

 その上で、各地で素晴らしい取り組みを行なっているSTEAM人材を発掘し表彰する「STEAM JAPAN AWARD」は、STEAMを取り巻くエコシステムの中でも特に重要な取り組みだと位置付けており、だからこそ審査員には民間および政府からキーパーソンをお呼びしています。

[写真左]審査委員長:スプツニ子!(アーティスト/東京藝術大学デザイン科准教授)
[写真中央]特別審査員:大杉住子(文部科学省高等教育局私学部参事官(学校法人担当))
[写真右上]特別審査員:浅野大介(経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長)
[写真右下]実行委員長兼審査員:井上祐巳梨(STEAM JAPAN 編集長)

リアルな課題を自分のスキルで解決しようと試みている活動に、私たちは全力でスポットライトを当て、多くの人に伝播するための協力が出来ればと思っています。

そんなSTEAM JAPAN AWARD 2020 の表彰式は、オンラインにて一般視聴も可能な形での配信を予定しています。このオンライン表彰式で、受賞者の発表となりますので、是非ご参加ください!

\STEAM JAPAN AWARD 2020 オンライン表彰式/

*配信URLはこちら

<日時>11月30日(月)18:00~19:00予定

<構成>

オープニング/配信メンバー紹介/STEAM JAPAN AWARD 2020 オンライン表彰式開始にあたって/受賞者発表①企業賞/受賞者発表②(ゴールド/シルバー/ブロンズ)/STEAM JAPAN AWARD 2020 総括 ~応募者の皆さんへのメッセージ~/テーマトーク「自分たちの未来は自分でつくる!~自分で未来を切り開くためのこれからの教育とは?~」/エンディング

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