本気で挑戦する人の母校とは? 〜「複業する校長」とSTEAM教育〜

2021.04.01│STEAMレポート

教育分野とは異なる他業界出身の荒井氏・赤司氏が学校長に就任されるまでの経緯や、札幌新陽高校のこれまでとこれからについてお伺いしました。

「本気で挑戦する人の母校」というビジョンを掲げた荒井氏は、どのような想いで取り組まれてきたのか。また、赤司氏は今後どのような学校づくりを推進されるのか。教育に対する熱い思いを抱いている二人に、お話を伺いました!

荒井 優氏 プロフィール

1975年2月28日生まれ。札幌市立三角山小学校卒業後、神奈川県横浜市で育つ。1994年早稲田大学政治経済学部経済学科入学。卒業後㈱リクルートに入社した後ソフトバンク㈱社長室配属。
グループ企業でSB プレイヤーズ㈱、㈱エデュアス、㈱さとふるの取締役を歴任・公益財団法人東日本大震災復興支援財団の専務理事を兼務、孫正義社長が行う復興支援活動の責任者を経て、2016年2月より学校法人札幌慈恵学園 札幌新陽高校の校長を5年2ヶ月務め、2021年3月末で退任。4月より学園の副理事長・法人本部長となる。また、2019年7月より佐賀県の学校法人東明館学園の理事長を兼務。
趣味:硬式テニス、山登り、読書、カフェ開催、サウナ

 赤司 展子氏 プロフィール

1976年千葉県で生まれる。早稲田大学商学部卒業後、三井物産、アルフレックスジャパン、UBS証券を経て2007年PwC Japan入社。2014年よりPwCの社会貢献活動の一環で福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会へ出向。教育委員会や学校、地域など多くの関係者と協働し、教育復興ビジョンの具現化を推進。2018年1月ウィーシュタインズ株式会社を設立。多彩能®が輝き合う世界を目指しライフワークとして「学びの多様化」に取り組んでいる。
2021年4月より学校法人札幌慈恵学園 札幌新陽高等学校 校長。
ウィーシュタインズ株式会社 創業者・代表取締役、NPO法人インビジブル 理事、一般社団法人STEAM JAPAN 理事、社会彫刻家

教育という新しい分野への挑戦!荒井氏の校長就任

荒井氏:

元々ソフトバンク本社の社長室に勤務していて、大企業の中枢で働くことに存在意義も感じていました。しかし、2011年の3月11日に東日本大震災が発生して、会社として復旧活動を積極的に行う中、孫正義社長から「個人として100億円を寄付するから復興支援に活用してほしい」と相談され、各地に寄付をしたり、復興支援の財団を立ち上げて直接に支援活動を行ってきました。 

復興支援活動はとても学びがあり、例えば、支援者が直接的に行動をしすぎると、かえって受援者が自ら立ち上がる機会を奪いかねないことがあり、「待つ」ことが時には大切であること。また、それまでのビジネスキャリアでは関わることがなかった「学校」というものが地域が復興していく時にとても大切な存在であることがわかってきました。なぜなら、子どもたちこそが未来であり、そのために大人が一生懸命に復興作業をしているのだとおもったからです。

社長室業務と兼務しながら復興支援財団の専務理事を務めていた震災から5年目の時に、「新陽高校の校長にならないか?」と父から相談を受けました。

新陽高校は、祖父が64年前に創立した私立高校ですが、その当時は閉校を検討するほど経営悪化が進んでいて、父が理事長に就任し、なんとか立て直そうと努力をしている矢先でした。

自分自身は、教員免許も学校勤務の経験も無いので校長職は大変なことだ、と思って悩みましたが、学生時代から師匠として仰いできた鈴木寛元文科副大臣やリクルートの大先輩で初の民間人校長の藤原和博さんからも背中を押していただきました。「おまえの覚悟次第だ」と。そして、被災地となった福島県双葉郡で出会った生徒や保護者、先生たちの頑張る姿や、それらを内包している学校という存在の大きさにずっと感銘を受け続けていたので、「今度は自分が北海道でやらなくてはいけない」最終的に覚悟が定まりました。

東北の復興支援で関わった学校では、様々な困難に大人たちが本気で挑戦していくことで、子どもたちが生き生きと輝いていく姿に変わっていく様子を何度も見てきました。そうした姿を新陽高校の新しい理想の形として描き、「本気で挑戦する人の母校」にするというビジョンを掲げて校長着任後の学校運営に努めました。

荒井氏から赤司氏へ、校長交代。どのような想いを荒井氏は託されて、どのような想いで赤司氏はお受けされましたか?

荒井氏:

赤司さんとは福島県双葉郡の教育復興活動を通じて出会いました。外資系コンサルティング企業から出向されてましたが、地域に根ざした支援活動をして地元の方々の信頼が厚かったのが印象的でした。私自身の教育活動の原点こそが、この双葉郡の教育復興活動でしたので、赤司さんが独立をされると聞いた時には、真っ先に連絡をして新陽高校の経営再建や先生たちの働き方改革など様々な経営課題を手伝ってほしいとお願いをしてそこから3年ほど学校法人のコンサルタント的なアドバイザーとしてサポートを頂いてました。

そのようなご縁もあり、当学園の理事長が今後の校長人事を考えた中で、赤司さんに校長 就任を依頼しました。 私はまさか赤司さんが承諾するとは想像していなかったので、「受けてもらえる」と聞いて非常に驚いたことをよく覚えています。とても嬉しかったです。

赤司氏:

荒井さんという存在の大きさ・校長の重責を最近とても感じています。

突然、理事長からお電話を頂いた時は、驚きしかありませんでした。学校運営や校長人事については何度か相談していたので、まさか自分にお声をかけていただけるとは思っていませんでした。私を知ってくださった上で、指名して頂けたのは嬉しかったです。決心してからは、どうやるか?しか考えていません。背伸びをせずに、とにかく自分のできることをやってみようという想いです。

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