中高生による社会課題解決を表彰するアワード「STEAM JAPAN AWARD 2023→2024」。今年度も全国から多数のご応募をいただきました。ご応募いただきました皆さん、改めてありがとうございました!
今年度、GOLD賞を受賞したのは、青森県立名久井農業高等学校のチーム「FLORA HUNTERS AQUA」の「水を有効利用するミスト栽培システムの開発」です。この作品は、2年生7名、1年生3名で約2年かけて進めたプロジェクト。メンバーは、水の有効利用と高品質野菜の生産に貢献を研究課題とし、その研究のために水を有効利用するミスト栽培システムの開発をしました。今回は、チームを代表して、赤石さんと白鳥さんに特別インタビューを行いました!
授業で水耕栽培について学ぶうちに興味を持ったのがきっかけです。授業では水耕栽培の基本的な知識と、そのプロセスで消費される水の量について知りました。世界的に見て水資源の不足が進んでいる現状を知り、この問題に対してもっと深く理解を深めたいと感じました。また、宇宙でも作物が栽培されていることや宇宙での栽培には莫大なコストがかかること、特に水を運ぶコストが高いことを知りました。そこで、水をほとんど使わないミスト栽培が、資源を節約する手段として有効ではないかと考え、その可能性を広げていくために山崎直子さんが審査委員長を務めるSTEAM JAPAN AWARDに応募することにしました。
私たちのプロジェクトは、週4時間ある課題研究の授業を活用して取り組んできました。この時間を使って授業で得た知識をもとに、さらに独自のリサーチを進め、実際に装置の製作に取り組みました。合計10名のチームの中で、私たち2人が全ての作業に関わりながら、人手が足りない時は役割を分担して対応しました。先生からのアドバイス以外にも学会などでミスト栽培について発表し、聞いてくださった外部の先生方からも意見をもらったりしながら改良を続けてきました。
まず、装置の設計においては、ミストが外部に漏れ出ないようにするために密閉性を高めることを工夫しました。初期の設計では大きな装置を目指し、ゴミ箱を使って製作を試みたのですが、これが密閉できず課題がありました。密閉するために、粘土やビニール袋などを用いて隙間を埋める試みも行いましたが、なかなかうまくいきませんでした。最終的には元々密閉性が高い米櫃で試したところ、これがプロジェクト成功につながっています。
次に、植え付けの初期段階では、発芽したばかりの苗が非常に弱く、湿気中根が未発達であるため、すぐに萎れてしまうという問題が起きました。これを解決するため、最初にミストを頻繁に使用して、苗の周りの湿度を高め、湿気中根の成長を促しました。
湿気中根が一度しっかりと生えた後は、ミストの発生頻度を徐々に減らしたりすることで、苗が自然な環境に順応させていきました。この過程で、栽培の効果を最大化するために、ミストの発生回数を細かく調整しました。藻が発生しないように、装置の周りをそのアルミホイルで囲っています。
生育調査のデータを参考にしながら、苗の成長を観察し、ミストの発生頻度やその他の栽培条件を微調整しました。例えば、調査記録の写真を見比べることで、特定の回数でミストを発生させた際に苗が黄色く枯れてしまう事態を防ぐための情報を得て、苗が健康に成長するよう適切に管理することができるようになりました。生育調査では根の長さや葉の大きさ、枚数など計測します。枯れずに育ってくれるとすごく嬉しいです。みたことのないものを観測した時などに特に盛り上がりますね。
試したことのない様々な野菜の栽培に挑戦したいと考えています。特に、イチゴのような果物類や、葉菜類、豆類に興味があります。異なる作物に対する最適なミストの発生回数や温度調整など、栽培技術の精度を高めることにもチャレンジしたいです。イチゴであれば、甘さをさらに追求していきたいです。装置も、より大型化を図り、規模を拡大していきたいと思います。栽培中に根が伸びすぎるという問題もあり、現在はネットを使用してその点の改良に取り組んでいます。
また、途上国で主食として重要な野菜を栽培し、その環境下で実際に健康的に育つかどうかを観察し実験してみたいです。
赤石さん:
私は、多角的な視点からのアプローチや新しい知識を得ることの重要性を感じています。これらを生かすことが、さらなる成果につながると信じています。私たちもこれを大切にしていきたいと思います。
白鳥さん:
異なる視点から物事を見ることで、新たなアイデアが生まれると思います。これからもこの考えを持ち続けながら、さまざまな挑戦をしていきたいと思います。
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