【先端幼稚園インタビュー】 子どもの「やりたい」を最大化するアクティビティのつくりかた【SPARK!】

新しい学びのあり方として注目されている「探究型アクティビティ」。実は、2024年度から本格的に幼児向け・探究型アクティビティ「SPARK!」を導入されている幼稚園があります。
今回は、幼稚園の現場で中心となって「SPARK!」を実施する山梨県 学校法人岩田学園 いづみ幼稚園・高橋先生に、STEAM JAPAN編集長の井上がお話を伺いました。


探究型アクティビティの取り入れ・準備について

—— まず、日々のSPARK!の準備はどのように行っているのでしょうか。

高橋先生:
スケジュールは上半期または学期ごとに、大まかなアクティビティの流れやテーマを決めておきます。ただし“固定”しすぎないようにしています。子どもの興味は日々変化するので、予定していた内容でも、子どもたちの反応によって次回のテーマを変えることもよくあります。

教材については、事前に実際に自分で触ってみるようにしています。材料を試すことで「どこでつまずくかな?」「子どもが工夫しそうなポイントはどこだろう?」とイメージが湧きますし、結果的に子どもの“予想外の行動”にも柔軟に対応できます。
否定ではなく“広げる”ための準備、という感覚ですね。


—— 現場の先生同士では、どんな打ち合わせをしているのですか?

高橋先生:
SPARK!を担当する先生が複数名いるのですが、毎回認識合わせを行います。これは導入してから特に大事にしている部分ですね。「こうしたら面白そう」「こっちの流れの方が子どもが主体的になるかも」と、みんなでアイデアを出し合うことで、一人で考えるより格段に“子どもに寄り添った内容”になっていきます。

現場では、子どもの行動は良い意味で予測不能です(笑)。だからこそ、複数の視点があることで、進行にも余白が生まれ、先生自身も楽しめる活動になっています。


—— 子どもたちへの声かけで、特に気をつけている点はありますか?

高橋先生:
まず一つは 「否定しない」 こと。
子どもの思いつきは、大人には“え?”と思うような方向にいくこともあります。でもその発想こそが探究のスタートなので、止めるのではなく「どうすればできるかな?」と一緒に考えるようにしています。

もうひとつは 「なぜ?」を投げること
単にやらせるのではなく、自分で“理由”や“見通し”を持つ経験は大切です。そうすると、失敗しても「次どうする?」と前向きに考えられるようになります。


—— 材料の準備や環境づくりにも工夫があるのでしょうか。

高橋先生:
SPARK!のいいところは、普段触れない道具や素材に出会える点です。
ただし、取り扱いが注意のものもあるため、私たちは 「危険だから禁止」ではなく、「正しい使い方を教える」ことに重きを置いています。

先日の活動では、ホチキスを使いました。
子どもたちは最初「え!使っていいの?」と驚きます。でもデモンストレーションで安全な扱い方をきちんと示し、「こうすると危なくないよ」と理解すると、みんな慎重に、でも嬉しそうに取り組みます。

“できないことを遠ざけるのではなく、正しく伝えて挑戦させる”。
それがSPARK!らしさでもあり、私たちの保育の方針とも合っています。


手ごたえ・変化・子どもたちの姿

—— 実際に実施してみて、どんな手ごたえを感じていますか?

高橋先生:
まず感じるのは、子どもたちの観察力が上がったことです。
いままで気がつかなかったような小さな変化、違い、動きに興味を向けるようになりました。

また、SPARK!では成功例を“正解”として示さないので、子どもたちは 一回うまくいったら終わり、ではなく「次どうしよう?」に自然と向かっていくようになりました。「できない」というより「どうやったらできる?」と質問するようになったのは大きな成長です。


—— 実施を重ねて、子ども・先生・保護者にどんな変化が見られましたか?

高橋先生:
子どもはもちろんですが、実は 先生側の意識もかなり変わったと思います。

“決められた手順どおりに進める”というより、

 “子どもの発想を楽しんでいく”保育に変わってきました。

予測不能さがあるからこそ、「その場で考える力」「子どもとの会話からヒントを拾う力」が鍛えられて、先生同士でも「今日こんな発見があったよ」と共有が日常的に起こっています。

保護者の方も、作品ではなく過程を見てほしいという思いが伝わったのか、「こんなこと考えたんだね」「家でも試してました」と言ってくださる方が増えましたね。


—— 最後に、他園へ伝えたいポイントがあれば教えてください。

高橋先生:
まずは、「スムーズにいかないことを前提にすること」
これは失敗の容認ではなく、探究のプロセスを大切にする姿勢です。
子どもそれぞれに合うサポートを見つけていけば、必ず活動は豊かになります。

そして何よりも、大人がどれだけ子どもの発想に付き合えるか
それが鍵です。
子どもの想定外のひらめきを“想定内”にしてあげられるくらい、大人側が余白を持って関われると、子どもたちは驚くほど伸びていきます。


これから目指していく姿

SPARK!を取り入れたことで、いづみ園では “発想を止めない保育” がより自然な形で根づいてきています。

・素材や道具に出会うワクワク
・失敗を恐れず、次を考える思考
・先生同士の連携
・保護者との理解の共有

これらが重なり合い、子どもたちの「やりたい!」が最大化される環境が整いつつあります。

高橋先生は最後に、こう話してくれました。

子どもが自分を出せる場(子どもの中に湧き起こるものが自然と外に表れる場)をつくること。
 そのために大人自身が広い視点と柔軟さを持つことが大事だと思っています。」

探究型アクティビティの本質を、まさに現場から体現している取り組みでした。

高橋先生、お話ありがとうございました!

今後も、先進的な取組を進めていくいづみ幼稚園さんに、ぜひ皆さんご注目ください!

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