鹿児島県・錦江町が未来の子どもたちに届けたい「学び」―STEAM体験会から広がる新しい教育のかたち

鹿児島県錦江町では、子どもたちの未来を見据えた学びの場づくりが進められています。その中心にあるのが、未就学児を対象にした「STEAM体験会」です。地域資源を活かしながら、遊びと学びをつなげる取り組みとして、注目を集めています。

今回お話を伺ったのは、錦江町役場 未来づくり課で教育事業を推進する上吹越 寿次さん。ふるさと納税を活用した子どもの育成事業や、多様な学びの場の企画・実践を行いながら、町民や外部人材と協働し、「小さな町だからこそできる教育の可能性」を切り拓いています。

予測できない未来を生きる力を育む

「これからの社会は、技術の進化がとてつもなく早く、将来を予測することが難しい時代です。子どもたちに必要なのは、知識だけではありません。自分で考え、行動し、仲間と協働して課題を解決する力だと考えています。」

上吹越さんは、子どもたちに「自分を大切にすること」「人とつながる力」「自ら学び、考え、創造する力」を育むことが、未来を切り拓くための大切な土台になると語ります。

小さな町だからこそ必要だった「体験の場」

近年のデジタル化により、子どもたちは都市部と同じように情報にアクセスできるようになりました。しかし「画面越しに見ることはできても、実際に触れて体験する場が少ない」という課題がありました。そこで誕生したのがSTEAM体験会です。身近な素材や地域資源を活かした活動を通じて、子どもたちが好奇心を伸ばし、学びの楽しさを体感できる機会を提供しています。

6月に行われたSPARK!体験会。法輪保育園では、ペットボトルとLEDモジュールを使った「光るキラキラボトル」を制作。完成したボトルを手にした子どもたちは、音楽に合わせて元気いっぱいに踊り出しました。

田代こども園で行われた親子参加型の体験会では、保護者も一緒に作品づくりに挑戦。子どもたちの自由な発想力に驚く姿も見られました。

ふるさと納税 × 教育への投資

錦江町の教育事業の大きな特徴は、ふるさと納税を活用していることです。町では寄付の使い道を住民と議論し、条例化した事業の一つに「子どもたちの育成」に関することが定められています。実際に寄付をいただいた方の約6割は子どもたちの育成に関する事業を選択され、教育は町の優先課題のひとつになっています。上吹越さんは、「少子化が進む中でも、子どもたちが『やってみたい』と思ったことを少しでも実現できるよう、地域みんなで応援していきたい」と話します。

錦江町ではSTEAM体験会以外にも、多彩な学びの場を展開しています。

  • 中学校:地域課題を発見し、実践まで取り組むアントレプレナーシップ教育
  • 小学校高学年:オンラインで職業人と対話する「お仕事バイキング」
  • 夏休み:アニメのプロから学ぶアニメーションワークショップや、AIと一緒に本を作る「未来ブックラボ」

子どもたちは地域や外の世界とつながりながら、自分の可能性を広げています。

教育に携わる喜び

「やっていてよかった」と感じる瞬間は、子どもの成長に立ち会えたときです。最初は恥ずかしがっていた子が発表できるようになったり、「また参加したい」と自信を見せたりする姿に、教育の力を改めて実感します。保護者からも「集中して取り組む姿を初めて見た」という声が寄せられ、子どもたちの成長を共に喜ぶ瞬間が、上吹越さんのやりがいにつながっています。

他自治体へのメッセージ

「錦江町も最初からうまくいったわけではありません。大事なのは、完璧を目指すより、まずやってみること。子どもたちの声を聞き、大人も一緒に動く。失敗も含めてすべてが学びになります。

地域の人や外の人とつながれば、思いがけないアイデアや仲間に出会えるはずです。私たちもまだ道の途中です。一緒に子どもの未来をつくっていければと思います。」

錦江町の皆様、ありがとうございました!

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