トップクリエイター サトー克也氏の考える、これからの教育に欠かせないワクワクとは?

2020.04.27│STEAMレポート

 私たちSTEAM JAPANは、STEAMには「ワクワク」が非常に重要な要素だと考えています。ワクワクは、「やってみよう!」の出発点でもあり、挑戦への原動力でもあります。今回は、そんな「ワクワク」を大切にしながら数々の作品を創られている、トップクリエイターのサトー克也氏にインタビューを行いました。サトー氏の考える、STEAM教育やこれからの教育に必要と思われることについてお伺いしました。

サトー克也氏プロフィール

 1963年 東京都豊島区生まれ

 1987年 慶応義塾大学法学部政治学科卒業

 1987年 第一企画株式会社(現株式会社アサツーディ・ケイ)入社

 2007年 自身のオフィス《ダイコクinc.》を設立

 第一企画入社後、アサツーディ・ケイを経て、インパクトある広告表現で数々の話題作を世に送りこむ。近年は、その企業の持っているポテンシャルをどう生活者と結びつけるかなどクリエイティブディレクターにとどまらず「表現コンサルタント」的スタンスで臨んでいる。その上、演出家としても各賞を受賞しており、職人的クリエーターである。

 心に響くインパクトのある広告表現で、数々のCM話題作を世に送り込む、CM界のトップクリエーター。主な演出作品に、日立マクセル「ずっと、ずっと。」、コスモ石油「ココロも満タンに宣言」他、東京メトロ「すすメトロ!」、大塚食品「クリスタルガイザー」、読売新聞「編集手帳」、大阪ガス「さすがっス!」「ガ、スマート!」、高橋書店「ざんねんないきもの事典」他多数。 カンヌ国際広告祭銀賞、ギャラクシー賞、ACC賞受賞多数。

クリエイター・サトー氏から見たSTEAM教育

 STEAMは世界的に見ても、これからの時代の教育のあり方を変えていく、変えていると思っています。昨今、STEAMが話題に上がっているのは、なるべくしてなったことではないでしょうか?教育改革が始まる今年、また新型コロナウイルスの影響で世界的に大変なこの状況下で、STEAMに期待されているものは多いと思います。

 科学のS、技術のT、工学のE、数学のMの4つは科学的でテクニカルなことであり、これらは時代の変化でやらなければいけないことと考えられます。

 芸術のAは単純にアート、芸術として捉えるのではなく、もっと包括的に大きな意味で捉える必要があると感じています。また、それこそが、STEAMの根幹にあると考えます。他のテクニカルなものと、このAを掛け合わせて融合させるようなイメージですね。そうやって創造性豊かに教育をしていきましょうということです。 

ワクワクとは何か?

 人間はただ生まれてきたのではなくて、人それぞれに誕生の意味があり、やりたいこと=ミッションを持って、生まれてくると考えています。ミッションとは子どもたち一人一人がやりたいと思っていることで、みんなそれぞれ異なった形をしています。このミッションに近づいて行くことが、ワクワクを意味します。

 また、これからの時代は、原点に立ち返り、人間が生まれてくる意味を考えていかなければ、新しい教育に転換できないと思っています。

 これからの先生方に求められるのは、子どもたちの持っている「ワクワク」を見抜き、伸ばすことです。子どもの得意科目というよりも幅広い視点で、子どもたちが「何にワクワクしているのか」に気づき、サポートすることが重要です。このような本質を見抜く力を、これからの先生方に期待したいです。

 英語や数学を教えるのはAI ができるようになりました。教育の中で、人間ができることは変化していきます。今までの教育は画一的なものでしたが、これからはその子にしかできない形を作らせてあげることが求められていて、必要なことだと思います。 

これからの教育に必要なこと  〜自分の経験から学んでいくこと〜

 新型コロナウイルスの影響もありますが、現在だからこそ、「今できることは何か」をそれぞれが考え、大きく教育システムが変わらなければいけないと考えます。社会の価値観も変わる時期であり、考え直す必要が出てきたと思います。

 今までの教育では、先生方や保護者の方々が「教科」を教えていました。しかしこれからの教育には、「教わる」ではなく、「自分の意思や判断で、学ぶこと」が必要だと考えます。「AIに使われない人間を育てよう」と言っても、自己判断能力がないと、結局AIに使われる人間になってしまいます。AIにはできない、人間だからこその判断ができ、自分の感覚や直感を持てる人間教育をしていかないといけないと思います。

 「教わるのではなく、自分で学びに気づかせる」という子ども自身が学ぶ教育スタイルが良いと考えます。「君はどうする?」と問い、自分自身で考える癖をつけるようにする。情報を単に受け取るのではなく、自分で取捨選択できる訓練をするなど、子ども自身が考えて学んで、行動するという体験型学習が不可欠だと考えます。「なぜ必要なのか」、「どうしてするのか」をわかった上で、行動できること。自らの意思があって学ぶということが必要だと考えます。

 教育は、画一的なものでなく、その子のワクワクを伸ばすかたちで、これからは教科を越境して、生き方を学ばせるような教育に変わっていって欲しいです。例えば、極端ではありますが、教科の区切りを排除をしたり、本当に興味のあることばかりやらせるという方法も考えても良いかも知れないです。この世を生きるうえで大切なことをしっかりと教えてあげることが必要だと思っています。子どもでも大人相手でもワクワクがどれだけ大事なことなのかを伝えたいです。教育も変わらなければいけないと考えています。しかし、どのように変わろうとしても、大事なのは、ワクワクです。

最後に 先生方へのメッセージを

 子どもたちは一人一人違います。異なった花を咲かせるタネを持っています。その子どものワクワクを見抜き、その子らしい花を咲かせて欲しいです。そのために、先生方には子どもを型にはめて、似たような花に育てるのではなく、個性のある人間を育て、世界に出れるようにして欲しいです。強いてはそれが日本の国力にも繋がってくると思います。

 また、一人一人の自主性・直感を大事にしてほしいです。思考は過去のデータに照らし合わせる行為であり、ネガティブな反応をしがちですが、反対に直感は過去からも未来からもくるもので、ポジティブな道標となるようです。現在の教育は思考重視な面を感じますが、私は直感や感性を磨き鍛えるような教育が必要だと考えます。自分で考えて判断して、行動する。ワクワクして自主性のある行動は、その子に生きがいを与えるきっかけになるのではないでしょうか。

*人々の心に響く表現で、数々の作品を作り出してきたサトー克也氏。そのサトー氏が心理学、哲学、古武道、神話に学んだ、人と人、人とマスにおけるコミュニケーション法を書き下ろされています。ご興味のある方は、ぜひ、ご覧ください。

和法 〜和して無敵のコミュニケーション法〜

著 者: ダイコクInc   クリエイティブ・ディレクター サトー克也氏

出版社:エッセンシャル出版社

初版年月日:2020年2月

公式HP:https://www.essential-p.com/2020/01/11/和法/https://www.essential-p.com/2020/01/11/和法/

*また、「おむすび7(セブン)」という可愛らしい絵本も執筆されています。ご興味のある方は、こちらも合わせてご覧ください。

おむすび7(セブン)

作:さとうかつや 絵:本郷由樹

出版社:エッセンシャル出版社

初版年月日:2019年9月

公式HP:https://www.essential-p.com/2019/08/09/%E3%81%8A%E3%82%80%E3%81%99%E3%81%B37/

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