2020.09.18│STEAMレポート

国際的な観点から見た日本の教育指針〜文部科学省 大杉住子氏〜

 文部科学省は、日本の行政機関のひとつ。教育、学術、スポーツ 、文化および科学技術の振興、宗教事務等を所管しています。その文部科学省で教育関連を中心に活動する、大杉住子さん。初等中等教育局で学習指導要領の改定を担当をし、その後大学入試センターへ。 現在は文部科学省で働きながら、日本ユネスコ国内委員会の事務局次長を兼ねています。世界的な教育の見識を持つ大杉さんにSTEAM 教育に関して伺いました 。(注釈:インタビュー時・日本ユネスコ国内委員会事務局次長/2020年9月時現在は、文部科学省高等教育局私学部参事官(学校法人担当))

大杉住子氏プロフィール

文部科学省高等教育局私学部参事官(学校法人担当)
1997年、文部省(現・文部科学省)入省。幼児教育、大学教育、キャリア教育など教育分野を中心に担当し、愛媛県教育委員会保健スポーツ課長、在イタリア日本国大使館文化科学アタッシェなども歴任。2014年から文部科学省初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長として学習指導要領改訂の中核を担い、2017年から独立行政法人大学入試センター試験・研究統括補佐官として2020年度から実施される「大学入学共通テスト」の作問に関する業務に従事。2019年文部科学省 国際統括官付 国際戦略企画官(併)日本ユネスコ国内委員会事務局次長。現職は、文部科学省高等教育局私学部参事官(学校法人担当)。

まずは大杉さんは普段はどういったお仕事をしているのかお伺いさせてください。

 日本国内におけるユネスコ活動と、それから国際機関であるユネスコの場で日本がどんな貢献をしていくかを考えています。ユネスコは、世界遺産を イメージされると思いますが、実は教育と科学と文化とスポーツと情報とコミュニケーションという、非常に幅広い活動を担っている組織です。日本の強みになる部分を海外にアピールしたり、逆に日本の参考になる海外事例を調べたり、一緒にスタンダードを作っていくといった仕事をしています。

具体的な活動はどういったことになりますか?

 Society 5.0 (日本が提唱する未来社会のコンセプト)時代における教育はどういったことなのかということで申し上げますと、ユネスコでは『Futures of Education』という教育の未来を議論しています。2050年の教育の在り方に日本としてどういうことを主張していくか、あるいは海外の議論を踏まえて日本の教育をどう考えていくのかが役割です。こうしたグローバルスタンダードの設計に加えて、日本は、教育や科学などの分野にユネスコを通じて信託基金を出しています。そのお金をどういったプロジェクトに活かすのかをユネスコと一緒になって考えています。それからユネスコはSDGs(国連が取り決めた持続可能な開発目標)の目標4(質の高い教育をみんなに)を推進する立場にありますので、日本国内でのSDGsの推進も役割になっています。

2050年の未来の教育については、どういった議論が行われていますか?

 社会がますます複雑になり不確実になる未来の社会で、分断が広まったり脆弱性を増していくことが危惧されています。教育については、これを受ければ安心だということを大人が用意しておけるような状況ではなく、これをやれば良いというように未来の教育を定義することは難しくなっているのが議論の大前提だと思います。ただ、子どもたちが 私達が経験しなかったような新しい問題に直面していくことは間違いないですよね。そういった子どもたちの未来を考えて、学校や教育はどうあるべきかを議論しなければいけない。権威ある機関がこう言ったから安心なんだ、というよりも、知恵を持ち寄って答え常にを更新していかなければいけない状況です。そのための知識共有の場が 『Futures of Education』というプロジェクトで出来上がっているんです。

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