【特別企画】実践こそがSTEAMの真髄。「STEAM JAPAN AWARD」を企画したワケ|前編

2020.11.27│STEAMレポート

「STEAMを実践している人にこそ、しっかりとスポットライトを当てたい」

 STEAM教育専門メディア『STEAM JAPAN』を立ち上げて約半年。国内外さまざまなSTEAM事例を発信する中で、世の中のSTEAM教育トレンドに対する“漫然とした課題感”への打ち手が見つかったのは、コロナ禍真っ最中の2020年5月でした。

 ここ最近、「子どもの創造性を育む」教育手法として特に注目されるSTEAM教育ですが、その定義やアプローチ術、経済やGDPに与える影響など、一種のベンチマークとして“利用されている”印象のあるケースが多くあるのも事実です。

 STEAMの本質は “実践” 。何かを創ることにこそあります。

 私たちがなぜSTEAM JAPAN AWARDを企画したのか。STEAMをどのように捉えるべきだと考えているのか。このことについて、本記事でお伝えしたいと思います。

 このページをご覧になっている方はもうご存知でしょう。STEAMとは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学・ものづくり)、Art(芸術・リベラルアーツ)、Mathematics(数学)の5つの単語の頭文字を組み合わせた造語で、STEMという理数教育にAの創造性教育を加えた、2000年代に米国で始まった教育モデルです。

 日本では、リアルとネットの融合を前提とした人間中心社会「Society5.0」時代に向けた人材育成の柱の一つとして、文部科学省からEdTechを活用した学びの変革が発信されています。また経済産業省でも「未来の教室」事業において、その目指す姿の中心に「学びのSTEAM化」を提唱。国の取り組みの中心に「STEAM」という言葉が据えられたことで、教育業界のみならず産業界でも、STEAMそのものへの注目度が飛躍的に高まりました。

※STEAM教育に関する詳細記事はこちら

私たちのSTEAMとの出会い

そんなSTEAMと私たちが出会ったきっかけは、とても個人的なところから。STEAM JAPAN編集長であり、運営会社の株式会社Barbara Pool 代表取締役である井上祐巳梨が、シリコンバレーに住む姉から聞いた情報でした。

 シリコンバレーでは毎週のようにSTEAM関連イベントが開かれており、そこでは色々な実験が行われたり、おもちゃを自作するような体験が提供されていたのです。「これからの世界の教育スタンダードは、何かを創ることだよ!」

そんな姉からの言葉を約5年前から共有し、シリコンバレーと英国にいる姉を含めて、自分たちの子どもに実践をする為に、三姉妹でSTEAMに関するリサーチを開始。グローバルな事例を集めていく中で、日本こそがSTEAM領域のグローバルリーダーになるべきとの考えに至り、2019年にSTEAM JAPANを立ち上げたというわけです。

クリエイティブからSTEAMへ

もともとBarbara Poolでは、地域の課題に対して、クリエイティブや横断したスキルを通じて“ハンズオン”で解決していく事業を営んでいました。

 たとえば一例として日本茶。急須に入れて、お茶の葉が開くまで静かに待ってから飲むというスタイルは今でも続く一方で、ペットボトル文化の普及によって茶っ葉の日常生活での利用自体は劇的に下がっています。大規模でつくられる安価の茶っ葉は飲料メーカーが買うものの、小規模の手摘み等でつくられるようなものは売れなくなってきており、結果として商品性が薄れて後継者不足などの課題に悩まれています。私たちはそんな状況を打開するべく、静岡茶に対してJA静岡経済連さんとKIRINさんと共同で「静岡茶ビール」を開発。お茶の解釈を拡張させる“意味のイノベーション”によって、静岡茶の新しい展開を推進しました。

このような地域との取り組みを一つひとつ実践していく中で、次第に「地域住民の方々が自分たち自身で、主体的に課題解決できるようになること」の必要性と重要性を考えるようになり、そこから自治体主催の『クリエイティブ実践カレッジ』や『クリエイティブラボ』などを開催するようになりました。これがクリエイティブ育成事業です。

 ここから、地域課題を「子ども達」実践する中に、STEAMを使って解決することこそがさらなる本質である、と、ここで三姉妹STEAMリサーチとクリエイティブ事業が一本の線で繋がり、社会人へのクリエイティブ育成事業に続いて、幼少〜高校までを対象とするSTEAM事業を始めることになりました。

※この辺りの変遷については、STEAM JAPAN編集長就任に関する記事で詳述しています。

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