「Edvation × Summit 2020 」 参加レポート

日本教育界のイノベーション推進に向け、世界初のEdTechグローバルカンファレンスイベント「Edvation × Summit 2020 Online」(主催・一般社団法人教育イノベーション協議会、共催・経済産業省、後援・文部科学省)が11月3日から5日まで、オンライン上で開かれました。STEAM JAPAN編集部の参加レポートを、お伝えします!

3日間にわたるパネルディスカッションや事例発表では、今後注目される新しい教育や海外の教育事例、既成概念にとらわれないイノベーターを生み出す重要性といった話が次々と飛び出しました。

「未来の教室」中間報告会

2日目は経産省「未来の教室」の中間報告会がありました。冒頭、同省サービス政策課長・経済産業省教育産業室長の浅野大介氏は「未来の教室は“運動”に近い。3年目を迎え、学校や事業者の方同士の繋がりができ始めている」と手応えを見せ、事業を通じた子どもたちの自立的な学びの重要性に触れながら、実証事業の促進やEdTech導入補助金の有効活用などを説明しました。

「未来の教室」に採択された事業者の事例発表もありました。オンラインとオフラインを組み合わせた教育プログラム、エシカルハッカー養成講座、テクノロジーを駆使した牡蠣の養殖など、多様で先進的な取り組みが紹介されていました。

パネルディスカッションでは、パネリストたちが「“知る”と“創る”の循環は、STEAM教育にとっては重要」「GIGAスクールは共同のための“道具”。山奥や離島に住んでいても、最先端に触れるチャンスがある」など、子どもたちの未来の学びについて活発に意見を交わしていました。

「経済界も注目!学びのDXとは」

同じく2日目に開かれた「経済界も注目!学びのDXとは」は文科省と経産省に加え、経団連、IT企業を中心につくる新経済連盟(新経連)といった経済団体からもパネリストが参加。経済の側面から学びの未来を考えました。

新経連の船津康次氏は、学生を取り巻く教育体制について、省庁を横断するだけでなく、さまざまな団体や企業とも連携している点を評価。「こういった取り組みは教育のバックボーンになり得る」と熱く語りました。文科省の今井裕一氏はICTの活用やGIGAスクール、EdTechの推進によって「子どもたちが自立的に社会課題を解決できるような世の中になる」と期待。課題として自治体間のインターネット環境やP Cの配備状況の格差を挙げ、「義務教育過程だけでなく、高等教育でも1人1台P Cは達成すべき」と訴えました。経産省の浅野氏は、今後の教育制度について「子どもたちを探究の入り口に立たせることができる。解決のための学びを学校でもできる。国、民間企業、研究者たちと一緒に作りたい。教育には、再デザインが必要だ」と説きました。

「ネクストノーマル、世界基準のイノベーター人材育成に向けて」

3日目に行われた「ネクストノーマル、世界基準のイノベーター人財育成に向けて〜産官学で取り組む イノベーション・エコシステムへの取組みとは〜」では、民間企業や大学、スタートアップなどからのパネリストが登壇し、産官学の観点から、次代を担う人材育成について熱い議論を交わしました。

東京大学経営企画部長の西山崇志氏は、ポスト・コロナの教育現場について「質の高いオンライン講義を提供することで、新たに生まれた時間を対面でしかできない質の高い講義に充てることができる」との見方を示し、「両者をハイブリッドすることで、世界基準の人材を育てることができる」と強調しました。

株式会社Progateの加藤將倫氏は、学生時代に起業した自身の経験をもとに「大学という場を、民間企業やさまざまな方面からサポートするのは大切」と説明し、「大学の学知を学生だけでなく幅広い人たちに届けられたらいい」と期待を込めました。国際大学GLOCOMの小林奈穂さんは、産官学連携のあり方について「”産官学民”にしていくことが必要」と民間を巻き込む重要性を指摘。「画一的な答えが存在しない世の中、民間も社会を作る側になれるような機会を作ることが重要」と述べました。

コロナ以降、私たちの生活は大きく変わりましたが、それは教育現場も同じです。ポスト・コロナを見据え、私たちはどうやって教育に向き合っていくべきなのでしょうか。3日間で紹介されたさまざまな取り組みを聞き、日本や世界の教育が大きく変わりゆく変革期にあると感じ、我々STEAM JAPANでも引き続きSTEAM教育をさらに推進できればと思いました。

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