アイルランド Microsoftが学校用プログラムを提供開始

ダブリンにあるマイクロソフトアイルランドのオフィスには、「ドリームスペース」という空間があります。普段は、子ども達がここを訪問し、楽しみながらテクノロジーに触れたり、これから必要になる21世紀スキルを身につけたりすることができます。

アイルランドでは3月中旬に学校が閉鎖されましたが、それから間も無くマイクロソフトアイルランドは家で取り組めるオンデマンドのプログラム「ドリームスペースホームスペース」を提供していました。現在は学校が再開された一方で、実際にドリームスペースを訪れるのはまだ難しい状況です。そこで実際の訪問の代わりに学校や家での学びを支援する9月29日「ドリームスペースデジタルエデュケーション」プログラムを開始しました。

プログラムは大きく三つのパートに分かれています。

一つは、教室でドリームスペースのような体験ができる「バーチャルエクスペリエンス」です。コースは小学生向け、そして高校1年生に当たるトランジションイヤー向けに分かれています。

小学生向けは、今は存在しない職業につくかもしれない子どもたちのための、想像力を刺激するコースです。テクノロジーの人や社会を助けるための使い方を考えたり、AIの現在や未来の役割を考えたりします。進路を考えるようになる頃でもあるトランジションイヤー向けでは、テクノロジーが可能にするキャリアや、日常生活の中でのSTEMの役割を学ぶことを目指します。セッションでは、マイクロソフトの仕事やこれからの仕事で求められるスキルを学んだり、AIなどを使いながら十分のアイディアを具体化させることに挑戦したりします。セッションの内容は学校の設備によって変更できます。

このプログラムに合わせて提供されているのが、教師がドリームスペースを実行するための支援をする「ドリームスペースティーチャー」というパッケージです。このパッケージにはクラスで使う教材や難易度の異なるアクティビティ、チュートリアルビデオなどが含まれています。

二つ目は、4〜6年生向けの「ドリームスペースTV」です。10週間に渡り毎週1話ずつエピソードを公開し、小学校のカリキュラムに合わせた内容で計算的思考や創造性、課題解決に注目したSTEAMの学習を提供します。

DreamSpaceのHPより

より多くの子どもに届けるべくアイルランドの公共放送の子供向けチャンネルRTÉjrと協力しており、マイクロソフトのサイトのほかRTÉjrのサイトからも見ることができます。各エピソードには教師のための情報もセットになっており、学べる分野の情報や授業での活用方法の説明、アクティビティのアイディアが書かれています。

既に公開されているエピソード1のテーマは「風車を作ろう」。お題は手元にある材料で自立する風車を作るというものですが、試行錯誤を繰り返すプロセスとプログラミングの共通点を話したり、アクティビティの問いとして算数や再生可能エネルギーに触れたりと、一つのテーマから様々な方向に広がっていきます。また、途中でビデオを止めて子どもたちが考えたり作業したりするポイントが設けられていたりと、授業にも取り入れやすい形になっています。

このように子どもが楽しくSTEAMへの興味を深められると同時に、教師も負担なく授業に現実世界と結びついた新たな内容を持ち込めるプログラムとなっています。

参照サイト

Techbuzzireland "Microsoft Ireland launches virtual DreamSpace Digital Education Programme"

DreamSpaceのHP

(文:佐藤琴音)