イギリス 気候変動のためにできることを考える「You and CO2」

気候変動は世界が抱える重要な問題の一つです。少しずつ気候変動が若者の未来にもたらす影響について認識されつつありますが、まだ何もしていない人も多く、イギリスでも包括的な気候変動教育が必要とされています。

ウェールズの4人の研究者が12~15歳の生徒向けに開発した「You and CO2プロジェクト」は、一人一人が気候変動に与える影響について考えさせるものです。このプロジェクトは3つのワークショップから構成され、化学、コンピュータサイエンス、英語、文章創作を組み合わせて分野横断的に気候変動について教えます。

1回目のワークショップでは、カーボンフットプリントについて学びます。生徒たちは二酸化炭素と気候の関係について議論し、二酸化炭素やメタン、水などの分子モデルを作ります。また、自分たちの生活の中でのカーボンフットプリントを計算し、どう生活を変化させたらCO2排出量を減らせるかを考えます。

2回目のワークショップでは、双方向的なデジタルフィクション「No World for Tomorrow」を読みます。物語の途中で与えられる選択肢を生徒自身が選ぶことで、エンディングが変化します。選択をする中で、生徒たちは気候変動に対して現在私たちがもちうる選択肢(無視、政治的アクション、積極的行動、仲間との協力など)を探ることになります。この物語は気候変動との関わり方について様々な方法を試す安全な環境を提供し、異なる決断がもたらす結果の違いも見ることができます。

3回目のワークショップではプログラミングと文章創作を組み合わせ、生徒自身がデジタルフィクションを作ります。Twineというオープンソースのプログラミング言語を使いながら、様々な選択肢を組み込んだ気候変動についての物語を作り上げます。出来上がるストーリーのテーマはプラスチック汚染やビーガンのペンギン、鉱業でのカーボンフットプリントなど多岐に渡ります。一部の作品はYou and CO2ウェブサイトでも公開されています。

生徒たちの作品は個人としての戦いや行動について書かれたものが多く、開発した研究者たちはこれを、生徒たちが個人的な気候変動への関わり方について決断する力を得た結果だと考えています。今後は、より多くの学校でプロジェクトを実施しながら効果を測定していくことが予定されています。

参照サイト

British Education Research Association "Interdisciplinary, interactive climate change education: A STEAM approach"

You and CO2 ホームページ

(文:佐藤琴音)