令和2年から始まったGIGAスクール構想。文部科学省・GIGAスクール構想の初代課長を務められた髙谷浩樹氏による、教育におけるICTの活用の歴史と教育DXのこれから進むべき方向とその課題についての講演会が行われました。
(ご参考)当時の髙谷課長の熱意ある想いが詰まった、11万回再生を超える動画『「GIGAスクール構想の実現」とは ~学校情報化の目的と概略~』は、こちら
「GIGAスクール構想の目的の一つであった、一人一台端末とそのための大容量通信の確保は、国からの大規模な補助とそして何よりも現場の先生方の努力とそこに関わる多くの方の協力で成し得たもの」と熱く語られました。しかし、これはまだ最初の一歩でしかなく、データのフル活用ができて初めてICTの活用と言えると指摘されました。
また、これからの教育DXのキーワードとしてあげられたのは、「データ駆動型教育」です。
様々なデータを集めれば集めるほど、何か新しいものがわかってくるという手法。これが社会の基礎であり、その手法が社会のあらゆる分野で活用されており、教育においても個別最適な学びの決定打になると語られました。
集まったデータをただ使えば良いと言うのではなくて、データを組み合わせることが重要になる。
そしてデータを標準化することができれば、組織を超えて共有化・共通化することができて、日本全体の傾向がわかるのはもちろん。一人一人の個別最適化の学びに一段と近づくことができると、これからの教育に置いてのデータ活用の必要性とこれからに期待を込めて話されました。
教育の分野において、データの取り扱いが今後重要になってくる。日本は諸外国と比べて、個人のデータの提供を不安に感じている割合が多いことと、そしてその貴重な財産であるデータを今後活用する上での課題を教育現場、学術会、企業の3面から指摘されました。
「日本では、ITに強い人材はIT企業にいることが多いが、自治体にももっとデジタル人材が必要である。デジタル人材育成が喫緊の課題でもあり、文科省がさまざまな補助をして、これからのデジタル人材の育成と多様な専門家の協力によって、データを駆使し、これからの子どもたちの教育のために奮起していただきたい。時代も環境も変わろうとしているということを皆様に知ってほしい。」
「集めたデータの分析や傾向を受験のためだけにするのではなく、一人一人の子どもが学びに取り組む姿勢、何に学びの時間をさくのかという、子どもたちの人間形成の教育に繋がるものに活用してほしい。」
そうした言葉で、高谷氏の熱い想いの詰まった講演会は締めくくられました。
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