アメリカのロサンゼルス郡にあるNational History Museum は、米国西部で最大の自然史博物館です。
こちらでは、HPの紹介でもありますが、地球誕生から現代までの45 億年という長い歴史を感じ、体験することができます。
約 3,500 万点を超える展示物の中には、標本や人工物だけではなく、敷地内外にある膨大な研究コレクションも含まれています。
今回は、中でも目を引いた恐竜ホールに焦点を当てて、National History Museum にSTEAM JAPAN編集部が実際に行った内容をレポートします!
今回は、STEAM教育の視点から展示コーナーにおけるポイントを考えてみたいと思います。
コーナーにおける、子どもたちの「?」を産み出し、興味を持って理解を深めたくなる設計が、現地でも非常に気になりました。まさにデザイン思考を実践している博物館として、ご紹介していきたいと思います。
展示物の大きさや数を通して恐竜や古生物だけでなく、アメリカの歴史について深く学べるコーナーなどもありました。また、展示だけでなくさまざまなアクティビティも用意されています!
各コーナーにおいて、こどもたちの「なんで?」「どうして?」を生み出し、さらに興味を持って子ども自身が理解を深めたくなるように展示されていました。
まず一つ目は、アンモナイトのコーナーでの展示。
目を引いたのは、アンモナイトのVRでしたが、そこの横にあったのがこちら。
化石を通じて自分との関係を表すストーリーが掲示されてました。子どもたちの感想が載ってありますが、その時の感動などがこちらにも伝わってきて、化石だけでなく個人のストーリーを交えて今一度考えてみることを促す、そうした仕掛けが面白いと感じました。
二つ目は、展示コーナーの各所にある”訪れた人たちへの問いかけ”が非常に目立ちました。
多くの展示箇所の最初に問いかけが描かれていて、
訪れた人一人ひとりに自分なりの考えやなんでそうなるの?と思考をめぐらすことができるため、子どもも大人もさまざまな発見ができると感じました。
そして、入り口で「そうなんだ。」ではなく、「なんでだろう?」と自分なりに考えることで、能動的に展示を見ることができる入り口になっています。
三つ目は、子どもたちに考える切り口として、類似例を並べて(例えば、恐竜の手や足の形がどのような役割をしているのか等)、形状についての想像を促します。
それぞれの特徴的なものを題材にし、比較しやすい状態の中でどのような違いを生み出しているのかをわかりやすくまとめられていました。
最後は、個人的にも好きなパラサウロロフスの骨格と鳴き声を再現したコーナーの紹介です。化石を元に骨格の空洞になっていた構造などを理解し、どのように恐竜が鳴いていたのかをわかりやすくまとめられていました。
最新技術を用いて、骨格から恐竜の鳴き声を再現し、それらがどのように生み出すことができるのか解説がありました。
今回、子どもたちの「なぜ?」「どうして?」を生み出すことを重視しているNational History Museumを訪ねて、展示方法や声かけを工夫することによって、子どもたち一人ひとりが自分自身で考えるきっかけを与えられること、また新たな分野への興味関心の幅も広げるきっかけになることを改めて体感できました。
自分から考えて理解を深め体験できる場が学校外でも多く存在することは、子どもたちにとって、学校や家庭以外の自身の興味関心を深めるために、本当に重要なことだと改めて考えさせられました。
日本国内においても、子どもたちがワクワクしながら「なぜ?」「どうして?」をどんどん考えさせられる施設がもっともっと増えていくといいなと思います。