世界ロボコン『FIRST』ハワイ地区大会視察レポート

世界35ヵ国から参加するロボコンとは?

ロボット競技会「FIRST Robotic Competition(通称:FRC)」という言葉をご存知でしょうか?

FIRSTとは「 For Inspiration and Recognition of Science and Technology」の頭文字をとった若者の科学振興、次世代のリーダーの育成を目的に、世界規模のロボット競技会の主催・運営、STEAM教育プログラムの提供を行うアメリカのNPO法人です。
FIRSTでは、4~18歳までの各年代ごとに競技プログラムが実施されており、全てのプログラムでの総参加国数はなんと110か国にのぼります。

これらの競技会にて優秀な成績を収めると、世界的企業から奨学金を補助されたり、大学試験に優遇されたりなど様々な広がりがあることも、特徴のうちの一つです。

その各年代ごとの競技プログラムの中で、特に14~18歳向けのプログラムは「FRC(FIRST Robotics Competition)」と呼び、世界から約35か国から約3,800チーム、約9.5万人が毎年参加しています。FRCでは、毎年1月に競技課題が発表され、約6週間という限られた期間の中で、大会で使用するロボットを製作します。

FRCの特徴は、ロボットの競技以外の、チームワークスキルや、社会貢献や資金調達(アウトリーチ活動)などにも重きが置かれていることです。
ロボットを上手に作れて、スムーズに操作が出来るだけでなく、競技では試合毎にランダムで構成された3つのチームが合同で競技を、何試合も実施するため、他チームとの英語でのコミュニケーションが必須となります。また、約6週間のロボット製作期間以外に、各チームは社会貢献活動なども実施し、FRCでは競技結果と同じぐらい評価されるのがポイントです。

(参考:https://www.firstinspires.org/robotics/frc)

2023年シーズンのハワイ地区大会に日本からも3チーム出場しているため、ハワイで開催される地区大会に日本チームと世界チームの現状と、強豪チームの実情を調査しにSTEAM JAPAN編集部で現地視察に行ってきました!

<大会会場は、広々としており、様々な国の学生たちがいて熱気がある空間です>
<会場での試合の様子>
<会場での試合の様子>

このハワイでの地区大会には世界中から37チームが参加して、そのトップ7チームがアメリカのヒューストンで開催される世界大会へと出場できます。

今大会は現地のハワイ以外から、6カ国から参加しています。
各チーム、試合当日に発表される3チームが、協力し合って対戦相手の3チームと戦います。本年度の競技は、ロボットを動かし指定されたボールやコーンを、いかに早くゴールに入れるかというものでした。(毎年の競技課題は、例えば水問題、都市問題、エネルギー問題など”解決すべき社会課題”としてテーマがあり、テーマに合わせて競技課題が変わります。)各国で協力し合うなど「競争」ではなく「共創」のマインドが際立つところが印象的です。

<工具や壊れたロボットの部品の変わりを探すチームが、他の国のチームに工具を借りに行く姿も見られました>

他のチームと協力をし合うことを大切にされていて、実際にFIRSTのWebサイトには、FRCに参加すると「チームワークスキルが99%上昇」とあります。

<各チームの多種多様な応援も参観>
<各チームの多種多様な応援も参観>
<現地の方が試合会場を盛り上げます>
<チームの応援に盛り上げる様子>
<試合会場近くの各チームの個性豊かなブースの様子>
<ブースでは他チームとの競技戦略の作戦会議や、ロボットのメンテナンス、技術審査員への説明も行われます>

今大会に出場した注目の日本の3チーム

サクラテンペスタ(千葉)
サクラテンペスタ チームは、この大会で「Regional Engineering Inspiration Award」(地域工学インスピレーション賞*)を受賞しました。

(地域工学インスピレーション賞*とは、チームの学校や組織、コミュニティ内でのエンジニアリングに対する尊敬と感謝、価値向上の活動を評価する賞です)

<ロボット操作をしたサクラテンペスタのドライバー達>
<ブースから会場へ移動するチームの様子>

ユキカゼ(北海道)

<ロボット操作をしたユキカゼのドライバー達>
<ユキカゼチームの試合の様子>

サザンカ(東京)

<ロボット操作をしたサザンカのドライバー達>
<ブースでロボットの調整を実施する様子>

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