ちょっと変わってる?!総合型選抜入試・国内事例

ここ数年で定員の増大が話題の総合型選抜。基本的には志望理由書や小論文、面接や評定などで評価されることが多い入試方式ですが、中には特殊すぎる入試方式も。今回は、そんな思わず「斬新!」と呟きたくなる総合型選抜をまとめました。

入試の前に授業!東京都立大学ゼミナール入試

東京都の公立大学、東京都立大学では、理学部、都市環境学部、健康福祉学部の一部の学科で、ゼミナール入試を実施しています。この入試方式は2段階の選抜が行われており、その1段階目の審査で、大学で実際に授業を受け、その講義における大学からの評価(成績)が2段階目の審査に使われます。

憧れの大学で実際に講義を受けられるなんてそれだけでもわくわくしそうですが、中には受講中に行った研究成果をプレゼンテーションする学科や、野外観察に行う学科など、高校ではなかなか体験しないようなハードな内容も含まれており、まさに高校生たちの"学ぶ力"が試される入試方式と言えそうです。

ロジカル・フラワー…?立命館アジア太平洋大学(APU)ロジカル・フラワー・チャート入試

続いて、大分県別府市に位置する私立大学、立命館アジア太平洋大学(以下、APU)では、ロジカル・フラワー・チャートという大学オリジナルのワークシートを用いた入試が行われています。ロジカルフラワーチャートとは、高校生たちの課題発見、解決、仮説検証のプロセスをまるで花のような形にまとめたもので、これを書いていく中で彼らの探究力を試験し、さらに向上させていくことができるということです。

STEAM教育でも大切にしている、当たり前を疑うこと、問うこと、考えて実際に手を動かしてみることがそのまま試験になったようなような入試とも捉えられますね。

提出書類に自由研究!?立教大学社会学部自由選抜入試

最後は東京都内の私立大学、立教大学の社会学部で行われている通称"自考力入試"についてご紹介します。こちらの入試方式では、A4の紙2ページ分に"自由研究"をまとめたものが提出書類として求められています。テーマは学科によって異なりますが、いずれも現代社会にまつわるテーマが比較的緩やかに設定されており、APU同様問いの立て方から結論を導くまでのプロセスが見られます。また、2次試験では提出した自由研究に関する口頭発表もあるので、文字だけでなく話し言葉でもわかりやすく伝えられる必要があります。

最近ではSTEAM教育の広まりも相まって高校で探究活動を行なっている生徒たちも増えていますが、そうした学校に通っているかの如何にかかわらず、自分が興味を持っていることを探究し、その内容を入試の場に応用したり大学入学後の学習で発展させられるのは、彼らにとってもより深い学びへと繋がりますね。

今回見てきた通り、社会で求められる力の多様化や各大学の差別化競争の風潮が強まる中で、大学入学時に求められる能力も変化しているようです。また、STEAM教育を体現したような入試方式も増えていきそうなので、こうした風潮の中で、より子どもたちの個性が認められやすくなったら、素敵な社会に近づきそうですね。


参考文献
https://www.tmu.ac.jp/entrance/faculty/outline/ao.html
https://www.apumate.net/admissions_guide/examination/pdf/2022/guide/guide_01.pdf
https://www.rikkyo.ac.jp/admissions/undergraduate/qo9edr0000004yej-att/mknpps000001a1v2.pdf

※本記事は、2021年度以前の情報を含む場合があり、受験生のみなさんに受験情報を提供する目的のものではございません。2022年度の入試情報に関しては、各大学HP等からご確認ください。

(文責:STEAM JAPAN学生インターン 赤井里佳子)