これからの教育 〜「知る」と「つくる」で変わる学び〜 視聴簡易レポート

2021.06.29│STEAMレポート

今回のイベント(*東京青年会議所 2021年度 6月定例会)は、現在の日本の教育課題を知ることと、新時代に求められるSTEAM教育を理解していくことを目的に開催されました。

基礎的な学科教育だけではなく、学んだことを結びつけて課題解決に取り組む、新しい価値を作り出すチカラを養うSTAEM教育が今後必要になってきます。

今、注目されているSTEAM教育について各分野の専門家から学び、一緒にこれからの未来ある子どもたちの教育を考える機会にしましょうと、開会の挨拶が述べられました。その内容をお伝えします。

プログラム内容・登壇者

●「現在の教育課題とSTEAM教育」板倉寛氏 (文部科学省 初等中等教育局教育課程課教育課程企画室長)

●「STEAM教育とは」
中島さち子氏 (株式会社steAm CEO、大阪・関西万博テーマ事業プロデューサー)

〜パネルディスカッション〜

●「STEAM教育への関わり方」
廣部慧 氏 (株式会社Barbara Pool  地方創生事業部統括 兼 STEAM 事業部 )

「現在の教育課題とSTEAM教育」板倉寛氏

現在の教育課題とSTEAM教育に関して新学習指導要領を踏まえた上のお話を、文科省の板倉寛氏が行いました。

まずPISA(OECDが行なっている世界的な学力調査)の読解力ランキング低下の結果を説明しました。「パソコンを操作する技術が必要です。その中で、ネット情報から課題が何なのか、何が最適か見極めるチカラが課題です。
さらに、自分の考えを根拠を示して、相手に伝えるという言語能力が求められています。その言語能力と情報活用能力が読解力において重要です」と指摘されました。

新学習指導要領では、一人一人が自分の良さや可能性を認識し、多様な人々を尊重し、協調しながら、社会を創り上げる作り手になることが求められていると説明しました。

「現在、子どもたちの多様化、学習意欲の低下が課題と言われている中で、新学習指導要領、働き方改革、GIGAスクール構想を持って政策を進めていかなければいけません。日本型学校教育の良さを引き継ぎ、さらなる発展が重要です。

子どもたちは、社会の変化に対処していくのではなく、変化を前向きに捉えていかなければいけません。探究学習や諸課題の発見、解決を見極めるためのチカラ、これを身につけるために必要なチカラを学ぶためにSTEAM教育が必要だと考えられます。文理を超えた学びや教科横断的な学びを産業界や国とも連携していくことが必須」だと語りました。

「STEAM教育とは」中島さち子氏

続いては、STEAMの本質について。中島氏は「現在は、創造性の民主化時代です。一人一人、誰もが表現者であり、問いを立てて、創造者にもなれます。決まった答えがない時代と言えるかもしれません。そんな中、試行錯誤していく力が問われている時代だと思います。

また、21世紀を生き抜くために必要なこととして、自分は何者なのか、自分は何を学んできたのかと、全体を俯瞰してみる力が必要になってきています」と強調されました。

知識をただ得るだけでなく、得た知識をどのように使っていくのか。どう関わっていくのか。これからの時代を生き抜くために必要なことが考えさせられます。

「STEAMは、科学、技術、工学、芸術、数学をただ学ぶのではなく、科学者・数学者のように考え、芸術家・エンジニアのように創り出すことが重要。横断的に、現実の諸課題に対して考え、向き合っていくことが求められます。学びが今、大きく変わろうとする中で、新しい形の学びを作っていくことが必要です。

先生や親という大人にとってのSTEAMも忘れてはいけない。多様な価値観のある中で、さまざまな人と出会って繋がって、また新しいものを創り上げていくということもSTEAMの根幹と言えると思います」と熱く語られました。

パネルディスカッション

第1部と第2部の講演を聞いた視聴者からの質問に、中島氏と板倉氏が解答されました。

例えば、

Q1:学校教育は、指導要領に基づき、全国で同一の教育を行うものですが、学校教育でSTEAMを取り入れるのは難しくないのか?

・実は、指導要領自体は、実際は各学校で裁量をとって授業を行うことができるものである。また、総合的な授業の時間をSTEAM教育の授業に使ってもらうことができるのかもしれない。

・今の現状のルールの中でやれることはあるかもしれない。みんなで知恵を出し合って協力して進めていきたい。

Q2:STEAM教育の普及を阻む壁の一つに、大学受験が関係している。この現状をいかに考えるか?

・大学受験も変化している。ペーパーテストだけでなく、小論文や面接などもある。アピールや、自分で自分を表現するという認識が生徒にも大学側にも徐々に増えてきたと思う。この認識を深くするためには、STEAM教育がより広まることが大学受験の位置付けも変わるのではないかと考える。

・受験も時代の影響を受けている。大学受験が全てという選択ではなく、複線化している現在。受験を選択しなくても、何か自ら始めるとか創り出すことができる。その選択を、自分で感じて考えて決められるようにするために、STEAM教育が何か道を切り開くきっかけにチカラになると思う。

「STEAM教育への関わり方」廣部慧氏

「当社は、地方創生事業を推進するに当たって、地域の課題を解決すること、またその地域に住んでいる人が主体的に取り組むことに重点をおいてきました。そんな中で、地域の課題を発見したり、解決を自分達で行うには、今までにない創造性や行動力などが必要だと感じてきました。

クリエイティブな企画や立案、地方創生事業をメイン事業とする会社が、どのようにSTEAM教育の推進に取り組んでいるのか、をお話することで、皆様の活動のヒントになってほしい」と、今回のイベントでのSTEAM教育の認知と普及活動について期待を込めて語られました。

「現在、学校教育や、家庭教育では新たな教育方法が模索され、求められています。私たちの身の回りにはさまざまな社会課題があります。実社会で起こっている課題を自分ごとと捉え、考え対応していくことが求められています。その課題を発見し、解決する方法の一つにSTEAM教育が必要だと考えます。私たちは、そういった社会と学校がつながる課題は、生徒自身が共感できる課題であることが重要として考えています」とSTEAM教育の普及推進をメインとした事業を開始した経緯と、STEAM教育の重要性を説きました。

一方、また、アメリカ・フィンランド・イギリスなどの海外においての最新最先端のSTEAM教育の取り組みを紹介しました。

また「日本でもSTEAM教育の普及・定着を進めていく中で、地域で子どもを育てるというもともと日本に根付いていた文化を改めて重要なことだ」と強調しました。
「地域にいる専門性を持った方々と関わっていくことで、子どもたちへの教育が学校だけでなく民間企業や地域社会全体と繋がっていくことも欠かせないことだ」と語りました。

編集部後記

パネルディスカッションでは、他にも、STEAM教育と行政との関わりや、日本独自のSTEAM教育とは何かなど、さまざまな質問に答えられました。
STEAM教育という新しい概念を意識しすぎず、各教科の本質をみながら、やれることをみんなで協力していく必要があります。学校だけではなく民間、行政、地域の社会全体で協力することが欠かせないと感じました。

STEAM JAPANとしては、子どもたちの中にあるワクワクを呼び起こすSTEAM教育の認知と普及に、より一層取り組んで参ります。

表紙画像イラスト:https://storyset.com/

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