アメリカ 中学生にAIを教えるプロジェクト

言葉を聞く機会は多くても、まだ遠い存在に感じがちな人工知能(AI)。しかしその技術は動画配信サービスやオンラインショッピング、職場の自動化など社会のあらゆるところで使われています。

ジョージア大学とアリゾナ州立大学の研究者からなるチームは、今後ますますAIに頼っていく社会に備えるため、AIの活用法を教える中学生向けプログラムを作っています。このチームは工学、教育、社会学など、様々な分野の専門家から構成され、アメリカ国立科学財団から150万ドルの支援を受けています。

プロジェクトが目指しているのは、夏のワークショップや秋のカリキュラムを通して実践型の学習の機会を提供し、没入できる体験を作り出す事です。カリキュラム内で生徒たちが使うのは、彼らにとって身近なiPhoneや市販のカメラによく似たコンピュテーショナルカメラを活用した、「ImageSTEM」というプログラムです。

プロジェクトには、人材開発も含まれています。21世紀の経済、特に新型コロナウイルスにより変化した社会では、AIのような先進技術の活用は必須の能力になるからです。

既存の枠にとらわれず、創造性を刺激する

このプロジェクトはただ単にコンピュータサイエンスや数学だけに留まるものではありません。チームは、伝統的なSTEM教科の境界を過去に押しやり、メディアアートを取り入れたSTEAMアプローチを取り入れることを計画しています。目指すのは、創造性を活用して科学分野の裏側にある原理をより深く理解できる体験です。

その一例は、プログラム内で想定されている課題です。機械学習とAIを使ってインスタグラムのフィルタを作るこの課題では、AI技術を活用してクリエイティブで魅力的なものを作ることができます。

社会の不平等を解消するために

さらに、アフリカ系・ヒスパニック・ラテン系など、過小評価されているグループの生徒たちを優先することも計画されています。社会経済的要因、そして時には技術へのアクセス不足が格差になりうるからです。

ジョージア大学でプロジェクトを率いるピダパルティ教授は、教師たちが研究に参加し、十分に顧みられていない生徒たちの競争の場を対等にするカリキュラムを共に作ることを構想しています。iPhoneやオープンソースソフトウェアを使うことで、少ない負担でこれからの世界経済での競争に必要な力を身につけられることができます。

参照サイト

UGA Today "Project to introduce middle schoolers to AI"

(文:佐藤琴音)