子どもたちが主役の学びを導入。今だからこそ知りたいPBL教育とは?

PBL教育とは?

PBL教育とは、一般的に「問題解決型学習(Problem-based Learning)」 あるいは「課題解決型学習(Project-based Learning)を指します。日本では文部科学省が「主体的・対話的で深い学び」を推奨しており、中でもPBL教育は非常に重視されています。

そもそも主体的・対話的で深い学びとは、学生や生徒が受け身でなく、自分からアクションを起こして学習することです。一般的に、教師が一方的に講義するのではなく、ディスカッションやグループ活動に重きを置いた勉強法とされています。刻々と変化する現代にあっては「自ら進んで学ぶ」「情報を取捨選択できる」「他人と協調できる能力」が必要であり、PBL教育はそれらを身につけられる有効な方法の一つです。

P B L教育の始まり

PBL教育の起源はアメリカの教育者のジョン・デューイに由来します。デューイは、教師が一方的に知識を教えるのでなく、学習者が主体的に課題に向き合い、問題解決に取り組むような学習活動を推奨しました。この考え方こそが、現代の「問題解決型学習(Problem-based Learning)」の基礎となりました。

その後、ジョン・デューイの影響を受けた弟子のウィリアム・H・キルパトリックによって、子どもたちが実践的な活動を通じて自ら問題を解決する「プロジェクト・メソッド」が考案され、時を経て「課題解決型学習(Project-based Learning)」として体系づけられました。

1960年代以降、P B Lは北米を中心に医学教育の現場で応用されるようになりました。医学の現場では、医学の知識を丸暗記するだけではなく、目の前にある事象(病状)をどのように診断・判断するかが求められるからです。医学教育で採用されるようになったP B Lの学習プロセスは、時を経てさまざまな教育に有効であるとされ、現在に至っています。

PBL教育の特徴

問題解決型学習と課題解決型学習は、しばしば混同されますが、両者には共通点と相違点があります。

共通点

  1. 実際に起こりうる問題について学習者が解決しようとトライする
  2. 答えはひとつとは限られていない
  3. 学習者が自主的に活動をする
  4. グループ活動をすることが多い
  5. 活動しながら自らの知識・経験を紐づけて体系化する
  6. 学習者は他人の意見や考えを共有し取り入れて、自身の視野・知識を広げる

問題解決型学習の特徴

問題解決型学習(Problem-based Learning)の場合、まず教員が具体的な問題を提示し、学習者はその問題に対しての解決策を探し出します。学習者は問題点を明確にし、情報収集やグループ活動、ディスカッションをしながら、答えを導き出します。問題解決型学習においては、一定の教科の中に組み込むことが可能とされます。

課題解決型学習の特徴

課題解決型(Project-based Learning)は、教科の枠組みを超えて実践されることが多いとされます。学習者は教師から問題提起のテーマのみ提示され、自分で課題を設定して解決策を見出します。

問題解決型の場合、提示される問題は既に社会で解決されているケースが多いのですが、一方、課題解決型は、現状をよくするためにこれから社会的にも解決しなければならない問題が多いようです。
これら2つの学習法をカリキュラムにうまく取り入れることで、より高い学習効果を得ることができます。日本の教育現場でも、両者を適切に採用し、成功している学校が徐々に増えています。

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カテゴリ:世界のSTEAM教育