F.A.I.L ―失敗は学びの第一歩

「FAIL」失敗と訳されるこの4文字は「学びの第一歩」を意味している―。

第11代インド大統領のアブドゥル・カラームが学生らによく語った言葉です。アメリカの教育現場からビジネスの場においても広く浸透している言葉であり、失敗をポジティブな見方で捉えようという力強いメッセージです。

If you fail, never give up because
F.A.I.L means “First Attempt In Learning”.
End is not the end, in fact
E.N.D means “Effort Never Dies”.
If you get No as an answer, remember
N.O. means “next opportunity”.
―Abdul Kalam

失敗しても決して諦めてはいけない。
なぜならばFAILは「学びの第一歩(First Attempt In Learning)」だからだ。
終わりは終わりではない。実際
ENDは「努力は決してなくならない(Efforts Never Dies)」を意味しているのだ。
Noと言われたなら
NOは「次の機会(Next Oppotunity)」だと思えばいい。
―アブドゥル・カラーム

カリフォルニア大学バークレー校のマーティン・コヴィントン教授によると、失敗を恐れることは、自分は価値のある人間であるという信念と直接結びついており、その信念を損なわないように失敗を避ける傾向にあるといいます。
人が自分の価値を守る方法の1つは、自分が有能であると信じ、他人にもそう信じさせることであるとコヴィントン氏の研究は伝えています。

このため、子どもたちが失敗への恐怖を克服するためには、結果や能力よりも課程、努力を重視し、具体的にフィードバックを提供することや、失敗を批判されない環境であること、つまり心理的安全性を保てる状態であることが重要です。コヴィントン氏は失敗を恐れることが彼らの人生にどのような影響を与えているかについて、生徒と話し合うことの重要性も指摘しています。       

ビジネスにおいても、シリコンバレーやスタートアップの現場では「Fail fast, fail often」―早く多く失敗しなさいとよく言われ、革新的なアイデアを生むためには試行錯誤することが大切であると認識されています。

不確かな未来で成功するためにはイノベーションが不可欠であり、イノベーションを起こすためには失敗を恐れず挑戦していくことが重要であると捉えられています。
失敗は成功のもと、とも日本でも言われますが、改めて失敗を肯定的に受け入れることが新たな成長へのヒントになるかもしれません。

<参考文献>

First Attempt in Learning: Why Failure is Key to Innovation – Twenty One Toys

Don't rest after victory, failure just an attempt at learning: A P J Abdul Kalam - The Economic Times (indiatimes.com)

First Attempt In Learning | Clayburn Middle (abbyschools.ca)

How to Help Kids Overcome Fear of Failure (berkeley.edu)

カテゴリ:世界のSTEAM教育
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