Design39Campusは、サンディエゴに位置するTK-8公立学校であり、革新的な教育アプローチを実践する学校として注目を集めています。10年前の開校以来、この学校は「人類を高める」ことができる未来のリーダーを育てる使命を果たすことを目指し、生徒主導での学びの実現を進めてきました。
世界が注目する教育実践現場に、STEAM JAPAN編集部で実際に伺ってきたので(訪問は今夏)、簡易レポートしていきたいと思います!
この学校の最大の特徴は、学習体験は「個々の学習者」を考慮して設計されている点にあります。ここでは、下記のチャート図がわかりやすいですが、創造的な自信を育み、デザイン思考を実践し、問いかけを通じて学び、グローバルにつながり、テクノロジーや実世界のツールを利用し、世界を変える勇気と成長のマインドセットを促進することを目指します。
特に2つの学習体験に強い焦点を当てています。1つは意味のある学習体験を作り出すこと、もう1つはリーダーシップ構造を再考することになります。
そして、24人の子どもに対して、1人の教育者がつく形で、この学習体験を構築しています。また、教育者をここでは”Learning Experience Designers (LEDs)”と紹介されており、学習体験をDesignするという点にこの学校の特徴が現れているかと思います。
①生徒主導の学習
ここでは、パーソナライズされた、「生徒中心の学習体験」を提供しています。教師は各生徒の個別のニーズを理解し、指導をそれに応じたアドバイス等を行うとのことでした。ここでの生徒たちは、ただの情報の受け手ではなく、自分たちの学習プロセスの積極的な創造者であり実践者になります。
(写真説明)ゴールドラッシュの歴史を学び、それらを教室内で体験できるように設計しているクラスルームに訪問させてもらいました。大きなクラスルームのテーマを設定し、個々人がそれをどのように表現し、表現したものをどのように伝えるのかを設計していました。
②学校全体が柔軟な学習空間
学校の教室や踊り場など、全ての校内にあるスペースは、個人学習から小グループ、大グループでの学習まで、さまざまな学習をサポートするために設計されていました。家具などのレイアウトは必要に応じて変更可能で、これにより多様な学習体験が支援されており、まさに教育者が必要性や生徒の状況によって、環境もデザインされています。
(写真説明) 教室と教室の踊り場でグループワークをしているクラスがあり非常に印象的でした。寝転がったりしながらリラックスした状態で、自由に意見交換していました。
また、宇宙をテーマに知るクラスは、教室内を宇宙船に見立て、宇宙にいながらの中で、惑星を捉える環境もありました。
③デザイン思考の採用
教育者たち=LEDs は、デザイン思考のフレームワークを利用してカリキュラムを構築し、教育上の課題を解決していきます。共感に基づいたアプローチを通じて、教育方法をプロトタイピング、テスト、そしてそれを繰り返し、実践していくことに挑戦していました。職員室も日本のそれとは大きく異なり、1学年の教育者が1チームのような形で、学習体験を準備し進めていました。
(写真説明) 1年間の授業カリキュラムを一覧化し、教育者同士が日々、授業過程の中でどのような状況になっているか、生徒はどうなのか等の意見交換を行い、進めているとのことでした。
(必ず毎朝15分程度の教育者同士の意見交換の機会を設定しているとのことでした)
生徒を中心とした学びの機会の重要性が、日本国内でも大きく取り上げられる中で、こういった先進的に取り組む学校を実際に目の当たりにし、STEAM JAPANで提供してきたコンテンツや情報の方向性ともとてもリンクする、共感することが多い訪問となりました。Design39Campusが大切にしている、生徒個人が持つ「好奇心」、「知識」、そして「人間性」という3つの核はアメリカのみならず、世界共通で重要なことだと思います。
「教育者」視点から、「学習者」視点へ。
私たちSTEAM JAPANも国内の教育現場を、よりサポートしていけたらと思っています。
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※STEAM JAPANでは、「新しい時代の、新しい教育へ。」をスローガンに、学校現場への教員研修・探究/創造的な学びカリキュラムサポートなどを実際に行っています。