【STEAM JAPAN AWARD 2021】表彰式レポート

2021年12月18日(土)、STEAM JAPAN AWARD 2021の表彰式が行われました。第2回となる今回も、全国から様々なことに興味を持った多様な中高生たちが集まりました。さて、今年のAWARDは誰の手に…⁉︎


審査員として、リモート出演と会場出演でこちらの皆さんに参加いただきました。

審査委員長:落合陽一さん(メディアアーティスト)

特別審査員:浅野大介さん(経済産業省商務・サービスグループ サービス政策課長(兼)教育産業室長)

特別審査員:大杉住子さん(文部科学省初等中等教育局幼児教育課長)

スポンサー:菊池裕史さん(Makeblock Japan株式会社)

スポンサー:池之内章さん(パナソニック株式会社)

また、STEAM JAPANからは、実行委員長 兼 審査員の井上祐巳梨が参加しました。


STEAM JAPAN AWARDの一次審査を突破したのは33組。その中から特に素晴らしかった作品を4つの賞と2つの企業賞の計6つ、表彰しました。審査の観点は以下の通りです。


皆さんは何にハマっていますか?

まずは、オープニングのコメントから。今年は審査員の方々に「中高生の頃にハマっていたものは?」というテーマで語っていただきました!その中でも審査員長の落合陽一さんは、「エレキギターを解体することで電子工作とプログラミングを学ぶこと」にハマっていたそうで、会場では驚きの表情を浮かべる人も。

他にも、部活動の吹奏楽部でホルンを演奏することやラグビー部での活動に科学的知見を導入していたり、皆さん様々なことにハマっていました。


企業賞発表!

今回は、Makeblock賞とPanasonic賞の2つの賞が設定されました。

Makeblock賞

Makeblock賞を受賞したのは、大分県立佐伯鶴城高等学校の3年生、Palさんの「防災ゲームで“知る”防災」です。

Palさんは、地域の防災意識の向上を課題として設定し、小学生に焦点を当てて課題解決にアプローチしています。既存の防災ゲームを応用して新たな防災ゲームを作成することで、その課題解決に取り組んでいます。

この作品について、Makeblockの菊池さんから、評価できるポイントとして

・解くべき課題の設定が、”自分たちができること”に落とし込めていた

・その課題について調査だけでなく実装まで繋げている

というコメントをいただきました。

Panasonic賞

Panasonic賞を受賞したのは、群馬県立高崎高等学校の1年生、高々1619@物理部さんの『スマート盲導杖「道しる兵衛」〜AI搭載白杖による視覚障害者歩行支援〜』です。

高々1619@物理部さんは、視覚障害者の安全確保を課題として設定し、視覚障害者の方々が使っている白杖にAIを搭載することで、その課題解決に取り組んでいます。

この作品について、Panasonicの池之内さんから、評価できるポイントとして、

・完成度が高くて、すぐにでも社会実装ができそう

・パッションが素晴らしい

・実証実験を何度も繰り返して更なる高みを目指している

というコメントをいただきました。


STEAM JAPAN AWARD!

IDEA

アイデア賞を受賞したのは、立教女学院高等学校の2年生、LCCCさんの、『全ての人にスムーズなコミュニケーションを』です。

LCCCさんは、高齢者のコミュニケーション意欲低下を課題として設定し、高齢者の抱える悩みに沿ったポータブルマイクを作成することで、その課題解決に取り組んでいます。

この作品について、審査員長の落合さんから、

・団塊世代が後期高齢者になる2025年に近づく今、喫緊の問題だからこそ興味がある

・実装には課題がありそうだがそこをどう乗り越えていくのか

というコメントをいただきました。

BRONZE

ブロンズ賞を受賞したのは、大分県立日田高等学校の3年生、日田高校3年生さんの、『Let‘sCleanWater!世界中の環境を守る浄水装置』です。

日田高校3年生さんは、下水道処理率の向上を課題として設定し、

活性炭と貝殻と竹炭を組み合わせた浄水装置で、その課題解決に取り組んでいます。

この作品について、審査員長の落合さんから、評価できるポイントとして、

・何度かにわたって調査を行なっている

・使っている貝類が日本中どこでも獲れるものである

・廃棄されるものを利用しているから、サステイナブルな取り組みになりそう

というコメントをいただきました。

SILVER

シルバー賞を受賞したのは、群馬県立高崎高等学校の2年生、高崎高校物理部2年さんの、

『学校IoT革命withコロナ―CO2濃度と在室人数の同時測定システムの開発と数理モデルによる解析― 』です。

高崎高校物理部2年さんは、学校における新型コロナウイルス感染防止を課題として設定し、小型コンピュータ「Raspberry Pi」を使って局所的なデータの収集や室内状況のモニタリングなどを行うシステムを開発し、その課題解決に取り組んでいます。

この作品について、特別審査員の浅野さんから評価できるポイントとして、

・身近な話に着目している

・測定やプログラミングによる法則、解決策の発見をしている

・さらに実際に実装しようとしている

というコメントをいただきました。

また、この作品について、審査員長の落合さんから、

・理論値にフィッティングしてシステムを構築していった点や、換気という身近な課題に着目し、文化祭などで実装しているのは素晴らしい

・デバイスへの実装などにも繋げられると良いので今後に期待したい

というコメントをいただきました。

GOLD

ゴールド賞を受賞したのは、東京都立富士高等学校の3年生、キッスイさんの、『FOODEMON』です。

フードロス解消を課題として設定し、フードドライブをはじめとするフードロス削減に向けた取り組みの認知を拡大するためのアナログゲームを作成することで、その課題解決に取り組みました。

この作品について、特別審査員の大杉さんから、評価できるポイントとして、

・FOODEMONは可愛くクリエイティブ に表現されており、その感性に訴えるのはSTEAM JAPAN AWARDらしい

・遊びが学びにつながることを考えている

・SDGsへの着目もしている

というコメントをいただきました。

また、この作品について、審査員長の落合さんから、

・アナログゲームによるコミュニケーションの活性化を考えたのは評価できる

・実際に作成してテストプレイをしてデザインを評価することを繰り返していたのも良い

・フードロス解消をどう実際に繋げていくかはわからないが、これで遊ぶことによって子供たちの意識を根付かせることは考えられる

というコメントをいただきました。


最後にSTEAM JAPAN AWARD 2021の総括として、審査委員長 落合陽一さんからコメントをいただきました。

・アイデア賞を除いては、実際に手を動かしたもの、頭の中だけで考えたわけではないものを評価した

・評価されなかったものにも価値がある

・世の中で今注目されていないものも、継続してみることで独自の切り口を持つことにつながるので是非続けてほしい

・自発的な活動から作られたものを賞に応募してみることの方が、賞を目指して何かを送ることよりも遥かに重要なことだと思う


そして、表彰式の後にはスペシャルトークショーが行われました!その時の落合さんの回答を抜粋してお届けします!他の方の回答など、全体を聞いてみたい方は、STEAM JAPAN AWARDのYouTube(https://youtu.be/Rz9kngTSUbY)からご覧ください。

Q. これからの未来の教育はどう変化していくと思いますか?
A. 実践型の教育、反転学習が増える。知識のインプットは好きな場所で好きなところでできるようになり、実践的な学習は複数人の学生や専門家とのコミュニケーションを通して行われていくと思う。

Q. プロジェクトを進めていく上で必要な資金は、どの段階で投資家にアプローチすべきか、また、収入が得られるようになる転換期はどう言ったタイミングで見えてくるのか
A. 規模などにもよるが、主にIT系のプロジェクトは費用がかからないものがほとんどだと思うので、プロトタイプまでは自費で行っておく。それを実際にプロダクトアウトしていく頃に投資家たちにアプローチしていく。大学なら公的予算やクラウドファンディングなどで資金を集める。

Q. 落合さんが製作するものや企画を考えたり、発言をするとき、意識していることは何か。また、考えを組み立てるとき意識していることは何か。
A. メディアの特性を意識して自分の考えの何割を話すかを決めている。また、考えを組み立てるときはとりあえず相手の話していることを受け入れて頭の中でどんどん繋いでいく。重要なのは相手が持つ目的や流れは、今人類にとってどういう問題なのだろうかということを考えながら物を組み立てていくこと。あんまり意識しているというより、研究や作品作りなどによって自然に身に付いている。使うツールが違う2つの価値観を持っていると非常にいろんなものごとを多角的に考えることができるようになるので、そうしたことに意識して勉強していくと良いのではないかと思う。

Q. これから未来を作る当事者である中高生に人生の先輩としてメッセージがあれば教えてください。
A. 中高生の頃はぼんやり生きていた。ぼんやりというのは、世の中で必要だと言われているものをそのまま必要だと思うこと。それでは自分がなくなっていく。ぼんやり生きないためには、世の中に必要だと言われているものとは違うものに目を向けられるようになること。大学生になってからはこの世界で自分がやるべきことを見出していたので、皆さんも今の時代に自分でしかできないものなどに挑戦していって自分なりにできることをやっていってください。

ということで、今年度のSTEAM JAPAN AWARDはおしまいです。

参加してくださった皆さん、改めて本当にありがとうございました!

今回参加されなかった方も、来年以降ぜひ参加してみてくださいね。

—Who will win the next STEAM JAPAN AWARD !?

(文責 STEAM JAPANインターン 赤井里佳子)