2022.04.25│STEAMレポート

『STEAM JAPAN AWARD 2021 受賞者インタビュー Vol.1』

STEAM JAPAN AWARD 2021 受賞者インタビュー

中高生が自ら課題を設定し、解決に向けた取り組みを表彰する「STEAM JAPAN AWARD 」。2021年度の表彰式では、審査委員長であるメディアアーティストの落合陽一氏から、6組の受賞者の発表がありました。

2回目の開催となるSTEAM JAPAN AWARDも、初回と同様に全国から様々な課題解決に向けた作品のご応募をいただきました。審査員長の落合陽一さんからも「世の中で今注目されていないものも、継続すると独自の切り口にもつながるので、是非続けてほしい。自発的な活動から作られたものを賞に応募してみることの方が、賞を目指すことよりも遥かに重要なこと」と、これからの時代を担う皆さんへの熱いメッセージがありました。

今回は、6組の皆さんに特別インタビューを実施。「課題設定をどのようにしたのか」「取り組む上で苦労した点や工夫した点」そして「今後の意気込み」など、さまざまなお話を伺いました。

表彰式の内容は、STEAM JAPAN AWARD YouTube からもご覧いただけます。表彰式の後に、落合陽一氏はじめ審査員の方々が皆様の質問に答えてくださったスペシャルトークも行いました。そちらの模様もぜひご覧ください。

▶︎STEAM JAPAN AWARD 2021 WEB サイト

▶︎プレスリリース

STEAM JAPAN AWARD 2021 GOLD賞

チーム名:キッスイ (東京都立富士高等学校・高校3年(受賞当時))
作品名:FOODEMON

フードロス問題に焦点を当て、「触覚学」を応用したアナログゲームを作成することで、廃棄食材について考えるきっかけにする作品です。「クリエイティブに表現されており、その感性に訴えられるのはSTEAM JAPAN AWARDらしい」と評価を受けました。

キッスイさんプロフィール

2003年生まれ。東京都出身。高校生おもちゃクリエイター。幼少期よりおもちゃの魅力に囚われ、特に人と人とを繋ぎ楽しみを共有できるアナログゲームに愛情を注ぐ。高校2年生の時におもちゃクリエイター「キッスイ」として活動を始め、これまでに25個の作品を手掛ける。アナログゲーム企業やデザイナーへの取材を重ねたり、個展を開催し活動範囲を広げている。ゲームを通して、食材を破棄したり、そうしない為の対策を疑似体験しながらフードロスを考えるきっかけになる今回のゲームを開発しました。

このテーマを課題に取り上げたきっかけを教えてください

 私は社会問題の中でも特に「もったいない!」と感じる「フードロス問題」を取り上げた。私の母はスーパーで働いているのだが、消費期限切れの商品は全て捨てることになるという衝撃の事実を聞いた時私はこの問題を解決したいと思った。それから調べてみると、スーパーや飲食店などでの事業系フードロスと同じくらい、家庭系フードロスの量は多く、より私たち1人1人が問題意識を持つべきことだと思った。その中で「フードドライブ」や「リサイクル資料」などフードロスを減らすための取り組みとその認知度の低さを知った。「フードロス問題」を食材廃棄から解決まで疑似体験し視覚的に、触感的に伝わるツールを作る事が私に出来る事だと思った。

課題設定からその後どのように進めましたか?苦労した点などはありますか?

最も大変だった点はゲームのルール設計です。「フードロス問題」の解決策としてのゲームを創る以上、食材の購入から廃棄、解決までをより忠実に体験できるルールにしたいという思いがありました。一方で、最も重要な「楽しさ」や「分かりやすさ」、ゲームとしての「進行のスムーズさ」「規模」などを考慮する必要もあり、テストプレイと修正を繰り返して老若男女が楽しく学べるようなルールを目指しました。

作品の制作する中で、工夫を凝らした点、重点を置いた点は?

特に工夫した点は、世界観を創り上げる過程です。僕は、ゲームの世界がいかに面白いものに作り込まれているかがゲームにプレイヤーをいかに引き込ませるかに直結すると考えます。

また、この独自の世界を表現するという点が僕がアナログゲームを制作する最大の理由、原点です。「フードロス問題」を楽しく印象深く伝えられる姿を熟考する中で廃棄された食べ物の妖怪「フーデモン」に辿り着き、楽しみながら世界を膨らませました。

今後、どのようなことにチャレンジしたいですか?(勉強・進路・挑戦してみたいことなど?)

前述したようなビジュアルデザインを本格的に学び、これまで以上に制作に没頭する為に美術大学へ進学を目指します。 
そこで周囲から多くの刺激を受けて吸収し、学生の内から人々を喜ばせ注目されるクリエイターになることが今1番の目標です。僕の世界観にも繋がりますが、「可愛い」「面白い」という感覚には形容できないような衝動的に人を幸せにする力があると思っています。そうした価値を沢山生み出せる人間になりたいです。

次回に向けた意気込み、もしくはこれからアワードに応募する学生に一言

自分の「好き」を原動力にして挑戦してほしいです。僕はデザインやモノづくりが「好き」でこれまで取り組ませてもらってきたからこそ、何度も失敗もありましたが自分の未来に対して目標や期待で一杯です。
幅広い分野から作品を受け入れるSTEAM JAPAN AWARDに自分の「好き」を持って挑戦できれば、結果はどうであれ必ずこの経験が未来を切り開く第1歩になると思います。

次回はSilver賞、Bronze賞、Idea賞を受賞された3組の皆さんのお話をご紹介します!お楽しみに!