『STEAM JAPAN AWARD 2021 受賞者インタビュー Vol.2』

2022.05.02│STEAMレポート

中高生が自ら課題を設定し、解決に向けた取り組みを表彰する「STEAM JAPAN AWARD 」。2021年度は、メディアアーティストの落合陽一氏をはじめ、次世代教育に関わる6名の審査員たちが6組の受賞者を決定しました。

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今回は、特別インタビューの第二弾。SILVER賞、BRONZE賞、IDEA賞を受賞された3組にもメールインタビューを実施いたしました。それぞれのチームが「課題設定をどのようにしたのか」「今後挑戦したいこと」など、さまざまなお話を伺いました。

STEAM JAPAN AWARD 2021 SILVER賞

チーム名:高崎高校物理部2年  (群馬県立高崎高等学校・高校2年(受賞当時)) 
作品名:学校IoT革命 with コロナ―CO2濃度と在室人数の同時測定システムの開発と数理モデルによる解析―

学校における新型コロナウイルス感染防止のために、小型コンピュータ「RaspberryPi」を用いてデータ取集と数理データの解析と検証を行った作品です。

STEAM JAPAN AWARD 2021 BRONZE賞

チーム名:大分県立日田高校3年  (大分県立日田高校・高校3年(受賞当時)) 
作品名:Let’s Clean Water! 世界中の環境を守る浄水装置

下水道処理率の低い国が多くあることを課題にあげ、実験を通して活性炭と牡蠣の貝殻、竹炭を組み合 わせることで、より高性能な浄水装置の開発ができることを検証した作品です。

STEAM JAPAN AWARD 2021 IDEA賞

チーム名: LCCC  (立教女学院高等学校・高校2年(受賞当時)
作品名:全ての人にスムーズなコミュニケーションを

高齢者のコミュニケーションの問題に焦点をあて、ポータブルマイクを製作中。今後実装に向けてどのように課題を解決していくか、期待の作品です。

課題を設定した理由・きっかけ・経緯は?

高崎高校物理部2年:
新型コロナウイルスの感染防止のために「換気」の重要性が指摘されている。冷暖房等の経済・環境への影響を抑えつつ、感染防止対策を行うためには、局所的な環境データ(CO2濃度・温度・湿度)やその場にいる人数をモニタリングし、その場その時で適切な対応を取ることが大切である。このようなシステムは開発されてはいるが、高価であり、大規模施設での利用にとどまっている。特に学校は多くの人が集まり、密になりやすいにも関わらず、このようなシステムは導入されていない(高崎高校にも導入される気配はない)。そこで私たちは自前でこのようなシステムを作りたいと考えた。

大分県立日田高校3年:
現在、SDGs#6「安全な水とトイレを世界中に」と#14「海の豊かさを守ろう」が挙げられているにも関わらず、下水処理率が低く汚水が垂れ流しになっている国がたくさんある。結果として富栄養化によるアオコや赤潮などの海洋汚染が問題となっている。また、日本の中でも下水処理人口普及率に差があり、特に四国では普及率が低くなっている。そこで私たちは施設の代わりになるような浄水装置を作ることでSDGs達成への第一歩につながると考えた。

LCCC:
私たちが設定した課題は、新しい話題がなく、高齢者が声がかすれてしまったり、遠くまで届かないために、コミュニケーションへの意欲の低下から始まるフレイルサイクルに陥ってしまうということだ。この場合のフレイルサイクルとは、高齢者が話しにくいと感じていることからコミュニケーションへの意欲が低下し、それにより活力の低下、社会交流の減少が引き起こされ、会話がしづらくなることによって更にコミュニケーションへの意欲が下がるというような悪循環をさす。この根本にある、コミュニケーションをとる際の話題がないこと、声が届かないことを解決すべき課題として設定することでこのフレイルサイクルを止めることができると考えた。

課題設定から解決までの間で、大変だったことは?苦労した点はありますか?

高崎高校物理部2年:
ザイデルの式によるCO2濃度の予測を行うプログラムを書いたとき、まだPythonにあまり慣れておらず、変数が関数の中でどういうふうに扱われているかやライブラリの関数の使い方をきちんと理解することが出来ずに苦戦することがあった。また、プログラム上の計算式に誤りがあって正しい結果が得られず、どこが間違っているのかを見つけるのに時間がかかった。

大分県立日田高校3年:
僕たちの研究は、浄水についての研究だったため、汚水についての定義や、目に見えない物質の計測がとても大変でした。また、限られた時間の中で、たくさん計測できるように頑張りました。

LCCC:
大変だったのは、解決すべき課題の設定と、協力してくださる方々を見つけることです。課題と解決策を何度も見直して、話し合ったのですが、話し合っているうちに振り出しに戻ってしまい、なかなか先が見えなくなってしまう、ということも何度かありました。
さらに、企業の方のご協力や、ターゲットである高齢者の方とお話しする機会が必要だったのですが、企業やデイサービスに何社もメールを送っても全然連絡が返ってきませんでした。

作品を作るに当たって、工夫を凝らしたり、重点を置いた点は、どこでしたか?

高崎高校物理部2年:
AIと予測プログラムを使用する関係でNodeRED上のみではシステムを完結させることが出来ず、Pythonのスクリプトを別で実行する必要があったため、データの受け渡しは、MQTT通信とCSVファイルを介する方法を適宜選択して行った。RaspberryPiの処理能力はあまり高くないので、必要最低限の処理になるように意識した。UIは使用者が一目で必要な情報が得られるようなレイアウトになるよう工夫した。

大分県立日田高校3年:
SDGS #6の「安全な水とトイレを世界中に」の実現を目標にしたので、綺麗にする水は世界中の生活排水のため、どの地域にでも共通して使用することができる砂やサンゴ、陶器などを使用しました。また、低コストで浄化能力の高いものを目指しました。 

LCCC:
ユーザーの意見を第一に考え、自分たちの勝手な憶測で進めないことです。これは活動を通して企業の方に頂いたアドバイスです。身近な存在である祖母へのインタビューを大事にし、彼女に寄り添うプロダクトを制作することを大切にしています。

今後、どんなことにチャレンジしたいですか?(勉強・進路・挑戦してみたいことなど)

高崎高校物理部2年:
社会課題を解決するような作品やアイデアを生み出していきたい。そのためにも今後勉学にいっそう励んでいきたいと考えている。

大分県立日田高校3年:
SDGs #6 だけでなく、他の場面についても研究していきたい。

LCCC:
これからはこの活動を実際にビジネスとして拡大させたいと思っています。

次回に向けた意気込み、あるいは、これからアワードに応募する学生に、一言メッセージをお願いします

高崎高校物理部2年:
この応募に留まらず、日常にある様々な課題を見つけ、それを解決することでよりよい社会を創っていってほしい。社会をなす第一線で活躍してほしい。

大分県立日田高校3年:
探究は冒険だ

LCCC:
自分が興味のあることを探求していくことで新たな出会いや貴重な経験があると思うので、新しいことに友達と挑戦してみると学生生活がもっと充実したものになると思います!

次回は、企業賞【Makeblock賞】【Panasonic賞】を受賞されました2組のインタビューを紹介します。
また、GOLD賞を受賞者インタビューはこちらからご覧ください。