2023.01.10│STEAMレポート

【STEAM JAPAN AWARD 2022→2023企画】〜校則データベースを作る現役高校生にインタビュー〜

疑問に思ったことをそのままにしておくのではなく、「何かできないか。どうにか変えられないか。」と考えそして解決する行動をしていくこと。まさにこれからの時代に求められている人物像であり、自ら考えて実社会の課題を解決していこうと行動する『未来のSTEAM人材』である、現役高校生の神谷航平さん。

神谷さんは、学生にとって身近にある校則に「なんでこんな校則があるのか?」と、疑問を感じて、これを解決するために行動し、校則のデータベース化に取り組んでいます。
この活動を始めたきっかけや現在の活動に関して、開発者の群馬県の高校2年生神谷航平さんにお話を伺いました。

ー校則をデータベース化しようと取り組んだきっかけは、どのようなことでしたか?

僕が中学2年の時に、「帰宅後、16時までは外出してはいけない」と校内アナウンスが流れていて、校則に明記されているわけではないのに、ほぼ校則みたいに言われていたことがありました。『なんでダメなんだろう?』と思ったのが始まりです。

他にも靴や靴下の色の指定など校則に関して違和感を持ちました。「どうして?」「なんでこんな風に決められてるんだろう?」この疑問を解決するために、自分から先生たちに聞いてみたりしましたが、解決するところまではできませんでした。
これがきっかけで、多くの学校の校則を集めてサイト上に公開して、みんなが校則について考える1つの情報源として扱うために、データベース化を進めてきました。

神谷さんの立ち上げた団体のHPの一部

ー現在の活動内容を教えてください。

今は、インターネットで多くの人と繋がることができます。僕も「校則のデータベース化を一緒に取り組みませんか」とTwitterで呼びかけたら、多くの人が賛同してくれて、今一緒に活動しています。その中の一人が、校則掲載サイトを制作サポートしてくれました。

活動は、全国の高校の校則を各自治体などに情報開示請求をして、届いた紙媒体のものはスキャンして、解読して、サイトに入れ込んでいきます。作業自体は複雑ではないですが、時間がかかります。それでも、自分が校則に対して関心があるというのが根底にあって、大変だと思うことは無いです。
疑問に思い、自分たちで解決したいと思って取り組んでいることなので、やり抜くパワーになります。今、やっている校則データベース化が、全国の学生たちの話し合いの材料になったり、少しでも何かの役に立ちたいという気持ちが強いですね。

開設しているHPのデータの一部

ー校則はなくてもいいんじゃないか」という声もありますが、どう思われますか?校則とは、どのようなものと捉えますか?

僕は校則はあるべきものだと思っています。それは、日本社会には法律があるからです。県や市には条例があり、電車やバスといった公共交通機関を使うときにもルールがあります。生活するために身の周りには様々なルールがあるのに、学校内だけルールが無いというのはおかしいと思います。

ただ、普段の実社会の中でもおかしいと思うようなルールもたくさんあります。同じように、ブラック校則と言われるルールは、時代も変わっていきますし、定期的に見直されるべきだと思っています。

ー先生方に対しての思いや希望はありますか。

中学生の時に、校則に対して疑問に思い、変更・改善したいと思って先生に聞いたりして行動を起こしました。でも、取り組みは最後までできなくて校則を変えることもできませんでした。

校則を変更や改善するのは一人の先生による判断ではなくて、「校則を変えるためのルールをしっかりと制定」してほしいです。どのようにしたら、校則が変更・改善できるのかを明確にすることで、生徒会が中心ではなくても、個人でも行動を起こせることがあると思うからです。例えば、生徒の過半数が「変えたい」と同意があるものは変える、などある一定の制定があると、非常に分かりやすくなると思います。

全国の教育委員会から届いた校則の山

ー今後の活用はどのように考えていますか。集めているデータに関して、問い合わせなどはありますか?

校則に対して実生活の中で疑問を感じ、何か改善できないかと考える学生がいる限り、このデータを活用してほしいです。校則の変更とかが必要なくなったらそれでこの取り組みは終了だと思っています。また、現在、僕の活動のメインは集めた校則の統計をとることです。1校1校の校則の内容をチェックして、現状の把握をして比較材料として掲示することができるものを作成しています。これにより、県内とか西日本など地域を絞って傾向や、割合などがわかるようになります。校則データの活用の幅は広いと思っています。

また、校則についての問い合わせはありますね。高校生からの問い合わせには、校則を変える手段の1つの材料として渡しています。中学生には、進学実績とかと同じように校則を進路選択の材料の一つ、入学後の衝突を未然に防ぐものとなるように活用してほしいと考えています。

ーご家族の反応はいかがですか?

中学の時は、「もうすぐ卒業もするし、そこまでやらなくても・・」と言われたことがあります。でも高校生になってからは、「やらなければいけないことをやっているなら、好きにやったら!」という感じで、温かく見守ってくれています。

校則データベースを手掛ける神谷さん

ー今後やってみたいことや、関心のあることはありますか?

僕は今、帰宅部です。帰宅部だからこそできることを企画して、何かコンテストみたいなプロジェクトを考えて開催したいです。帰宅部だからこそ、気づいた地元の良さや新発見とかを発信し、みんなで共有したいです。
今の時代はインターネットがあります。僕自身のこの活動もTwitterで呼びかけたりしましたが、情報発信の使い方次第で、自分が考えたこと、やりたいことの行動は起こせると思います。

僕自身は、まだ将来については考えていません。校則に関してここ数年取り組んできて、たくさん見てきたので、教育関係とか教育学部・社会学部などに興味はあります。

でもそれより、今は少し先のことよりも、今日一日を精一杯楽しむことや、とにかく目の前のこと1つ1つを精一杯やることを重視しています。1つずつやっていくことが積み重なって、何かを成し遂げられたらと思います。まさに、1年前の自分は、こんな形でインタビューを受けるなんて想像もしていませんでしたから(笑)

<STEAM JAPAN編集部より(一言後記)>

最近はSNSなどでも何かと話題になる「校則」。疑問に思ったことをそのままにしておくのではなく、何か出来ないかと考え、自分や周りとのコラボレーションを行い課題解決に向かう神谷さん。
STEAM JAPANでは、こうした「自ら考え・実社会の課題を解決する」活動を表彰する取り組みをおこなっています。ぜひ、皆さんのアイデアを募集しています。詳しくはこちらをご覧ください♫

STEAM JAPAN AWARD 2022→2023(後援:文部科学省):https://steam-japan.com/award/
★締め切りは1月末までとなります!審査委員長は、経済学者・成田悠輔さんです!