2023.06.02│STEAMレポート

STEAM JAPAN AWARD 受賞者インタビューVol.2

中高生らが自ら課題設定をし、解決に向けた取り組みをする『STEAM JAPAN AWARD 2022-2023』の受賞者インタビューの第2回!

STEAM JAPAN AWARD2022-2023 公式サイト

今回は、SILVER賞を受賞されたチームへのメールインタビューをご紹介します。

SJA 2022-2023 SILVER賞概要と審査委員長・成田悠輔氏からのコメント

STEAM JAPAN AWARD 2022-2023 SILVER賞

チーム名:鈴木葵葉
作 品 名:スタレコ

製作したアプリ”スタレコ” (=本人より写真提供)

本アワードに応募されたきっかけを教えていただけますか?

鈴木さん:スタレコは個人開発のiOSアプリのため、フィードバックが欲しく、応募させていただきました。
また、スタレコはユーザーがいてはじめて成り立つアプリです。スタレコを知って使ってもらいたい!という思いもありました。今は簡易バージョンがAppStoreにリリースされているので、ぜひダウンロードしてアップデートをお待ち頂けたら嬉しいです。

この課題を設定した理由や経緯はどのような点からでしょうか?

鈴木さん:『時間がない』、そう思ったことはありませんか?
毎日課題の期限に追われる学生生活。学生にとって『時間がない』という問題は日々の挑戦を諦める、大きな壁となっています。解決策として勉強の「集中」を提案します。勉強を「集中」して短時間で終わらせ、時間を作ることができれば、挑戦したいことに時間を割けるようになるはずです。しかし、その「集中」を既存の方法で手軽に計測することは難しく、それを指標にするにはハードルの高いものでした。

私はそのハードルを下げ、自分に合う集中できる環境を知り・作ることで、短時間で勉強をこなせるようになる。「最高の集中」を引き出すことで結果的に時間を作ることができると考えました。

課題設定から解決までの間で、大変だったことや苦労した点はありますか?

鈴木さん:スタレコはiPhoneとApple Watchのみで勉強の集中度の可視化を目指しています。今までは複数の専門的なデバイスを利用しないと測定することができなかった「集中度」を、心拍変動から算出する論文を再現することで可視化を可能にしました。たくさんの論文を読むことはもちろん、それを再現することや勉強の集中度は「どんな環境によって変化するのか」様々な項目で勉強の記録をとってもらい、そこから相関を見つけるまでが大変でした。

実際のアプリ(=(=本人より写真提供)

作品を製作するにあたって、工夫を凝らしたり重点を置いた点はどのような所ですか?

鈴木さん:スタレコを作る中でスタレコにしかできない付加価値をつけることに注力しました。スタレコはユーザーのことを考え、設計されています。例えば勉強を始める時。iPhoneを手放せないと悩む学生は常にiPhoneを手元におく習性があります。iPhoneを無理やり排除するのではなく利用する、スタレコは「iPhoneを裏返す」動作を計測のトリガーとし「iPhoneを見ないようにして集中する」ことに対して直感的かつ簡単なインタラクションであり、このアプリに最適だと考えています。

これから生み出していきたいものや、課題として捉えていることはありますか?

鈴木さん:今後は心拍変動による集中度合いの推定をより正確にし、記録の自動化を目指しています。そのためには多くのデータを分析する必要があり、スタレコを多くのユーザーに使ってもらい勉強中の心拍データを集めることが課題です。高校生だからできることも多いですが、未成年という括りになるとどうしても大人の力を借りなければいけません。今このアプリは赤字なのですが、サービスとしての価値をあげて黒字で運営したいです。アプリ運営費の問題も今後、解決すべき課題だと感じています。

アワードに応募するまで「STEAM教育」という言葉を聞いたことはありましたか?どのようなイメージをお持ちですか?

鈴木さん:STEAM教育はなんとなく理系の自分にあっているのかな程度で正直あまり知りませんでした。少し堅苦しいイメージでしたが、実際にやってみると自分のやりたいこととあっていて技術の掛け合わせだと感じています。また様々な学問を通して、実践的なデザイン思考が自然と養われました。

今後、どんなことにチャレンジしたいですか?

鈴木さん:最近は3D造形やドローン、建築、経営学と経済学に興味があります。様々な分野に興味があるため、学問を横断的に学べる大学へ進学したいと考えています。私には興味のあることがたくさんあるからこそ、掛け合わせた新たなアイデアを生み出すことができます。大学でも自分のアイデアをカタチにして研究したいです。そのきっかけとして最近はドローンを始めました。ドローンもやりつつ、今は家庭用3Dプリンターの購入をして学びたいです。今後も自分のやりたい!を原動力に挑戦して精進していきたいです。

次回に向けた意気込み、あるいはこれからアワードに応募する学生に、一言メッセージをお願いします。

鈴木さん:自分の身近な問題を発見し、課題と定義する。それを自分の持つスキルで解決する。一番楽しいのは、アイデアを少しずつカタチにしていく作業だと知りました。まだまだ私のアイデアも改善すべき点ばかりですが、このカタチになっていく過程はつくる人にしか味わうことのできない特権だと思います。どんなアイデアでもとりあえずカタチにしてみてほしいです。私はアイデアをカタチにする、『ものづくりをする人』はとても特別な人間だと思っています。

☆次回はIDEA賞を受賞した3チームのインタビューをご紹介します♫

▶︎前回のGOLD賞受賞チームの記事はコチラ