2023.06.12│STEAMレポート

STEAM JAPAN AWARD 受賞者インタビュー Vol.3

中高生が自ら課題設定をし、解決に向けた取り組みを表彰する『STEAM JAPAN AWARD2022-2023』の受賞者インタビューの第3回!

STEAM JAPAN AWARD2022-2023 公式サイト

最終回の今回はIDEA賞を受賞された3チームの皆さんへのメールインタビューをご紹介します。

STEAM JAPAN AWRAD 2022-2023 IDEA賞

チーム名:Change of Perspective
作品名:全国の校則データベース「全国校則一覧」を作る

チームで制作したHP
HP内の一部

STEAM JAPAN AWRAD 2022-2023 IDEA賞

チーム名:中学Ⅱ年環境ゼミ⑥
学 校 名:東京都立大泉高等学校附属中学校 
作 品 名:多くの人に「水」を意識してもらうためには ーウォーターフットプリントから考えるー

STEAM JAPAN AWRAD 2022-2023 IDEA賞

チーム名:C-Aufish
作 品 名:改造Virophageのウイルス性疾患治療への応用

本アワードに応募されたきっかけを教えていただけますか?

Change of Perspective:
私が本アワードに応募したきっかけは、このアワードがSTEAM教育分野で活躍する学生や教員を表彰するものであることに興味を持ったからです。審査委員長が成田悠輔さんであったことや、自分たちがやっているプロジェクトがSTEAM教育に該当すると感じたため、応募を決めました。プロジェクトに取り組む中で、自分たちのアイデアや成果が評価されることはとても励みになります。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
学校でマイプロジェクトという探究活動を行っていて、その関連でコンテストに応募することになり、STEAM JAPAN AWRADを見つけました。その目標が、体験の中でさまざまな課題を見つけ、クリエイティブな発想で問題解決を創造、実現していくための手段を身につけ、社会とテクノロジーの関係がますます密接になっていくこれからのAI時代、この5つの領域の理解と学びを具体化する能力を養うというもので、僕たちのチームと目指しているところが似ていたので、応募させて頂きました。

C-Aufish:
私は、青森県八戸市にある水産科学館マリエントの「『ちきゅう』たんけんクラブ」の会員である。  その活動に関連してネット上にて調べ事をしていたところ、「STEAM JAPAN AWARD」の募集広告が目についた。面白そうだったため、応募してみることにした。

この課題を設定したと理由や経緯はどのような点からでしょうか?

Change of Perspective:
社会には法律があり、県や市には条例があり、公共交通機関を使うときにもルールがあります。生活するために身の周りには様々なルールがあるので学校内のルールである校則は必要だと思います。
しかし、実社会の中でもおかしいと思うようなルールもあります。
ブラック校則と言われるものは、時代も変わってきてますし、定期的に見直されるべきですし、変わっているなという実感もあります。
また、「校則を変えるためのルールをしっかりと制定」してほしいです。どのようにしたら、校則が変更・改善できるのかを明確にすることで、生徒会中心だから行動できるとかではなく、個人でも行動を起こせることがあると思います。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
世界では、総人口の約40%以上とも言われる36億人以上の人々が安全な水を使用できていない。それにも関わらず、日本では人々の水への意識はあまり高くないことが分かっている。

C-Aufish:
以前、(特に欧米地域において)「サル痘」とよばれるポックスウイルス属のウイルスが流行している旨が報道されていた。これを受け、突発的な致死的ウイルスの流行に対し、ウイルスが耐性を持たないような新しい治療方法はないかと考えた。

課題設定から解決までの間で、大変だったことや苦労した点はありますか?

Change of Perspective:
活動のほとんどをネット上で完結させるため、それが良い部分でもあったのですが、対面で会えないことや言葉だけでのやり取りだと温度感や気持ちの伝わり方にズレが生まれてしまう事がありました。積極的にZOOMや電話などを用いて、言葉だけでは伝わらないものを全体で意識して汲み取ろうとしています。それらを用いることや意識することで、100%ではありませんが解消されズレが解消されました。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
1つ目は、データを収集することに苦労したことです。我々と同じ活動をしておられる個人・団体がいなかったため、初の取り組みでした。そのため、信頼できるデータを集めることが大変でした。
2つ目は、プログラミングに関してです。複数の項目を入力、プログラム、確認、修正などの作業にとても時間がかかり、途中で分からないことも出てきて苦労しました。

C-Aufish:
研究論文数が少なく、その多くが謎に包まれているヴィロファージをいかにしたら医療に応用できるようなウイルスに改造できるかに苦労した。特に、ヴィロファージで顕著に見られる「宿主特異性」の問題解決には結構な時間を要した。

作品を製作するにあたって、工夫を凝らしたり重点を置いた点はどのようなところですか?

Change of Perspective:
皆さんに見やすいサイトを提供することが何よりも大切だと思って取り組みました。サイト内がより使いやすいように、学校名検索や「ツーブロックやアルバイト禁止」などといったキーワードで校則を調べられるようにしました。高校進学をする人にも、校則を変えようと努力している人にも良いものになっています。
また、サイト内にはフィードバックを設けており、サイト内に不備がある場合はいつでも送ることができるようにしました。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
多くの人に分かりやすく伝えたい情報を届けることです。そのために、具体性且つデザイン性を伴わせて作品をつくりました。どのような素晴らしい内容のものも、使用する人に関心を持っていただけなければその効果は薄くなってしまうと思います。そのため、濃い内容を扱いながらも、できる限り見やすい配置や配色などを考えたり、数値の具体例も記載したりしました。具体例を記載したことによって、実際のイメージが湧き、社会課題への行動にも繋がったと考えています。

C-Aufish:
一度の試作で目的とする性能を持つ改造ウイルスができるとは限らない以上、試作回数を稼ぐために、改造時に可能な限り精密な遺伝子改変(ピンポイントでの挿入など)を必要とする操作を行わないようにした。

ランダムな挿入と取捨選択という遺伝的アルゴリズムに似た手法を採用することにより、できる限り改造の手間を省いた。また、ウイルスの量産過程においても極力問題が発生しないよう、量産には信頼性のある増殖能の高い宿主生物との共培養という形式を採用した。

これから生み出していきたいものや、課題として捉えていることはありますか?

Change of Perspective:
校則を集めて公開することは、できるようになってきました。今後は集めた校則を公開するだけではなく、調査もしていきたいと考えています。具体的には、例えば「アルバイト禁止」の校則が果たして全国でどのぐらいの学校に存在するのか。地域別や都道府県別に区分したらそこに差異は発生してくるのだろうか。
そういったことも今後は活動の中で取り組んでいきたいなと思っています。校則の調査は校則と同じように公開をして、校則を変えようとしている人たちの武器にできたらと考えています。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
今回私たちが取り上げたWF(ウォーターフットプリント)はまだ研究途中のものですが、世界的に問題となってきている社会課題だと思っています。これからは今回探究したWFだけではなく、環境問題やその他の社会課題を探究していき、少しでも社会を良くしていけるようにしていこうと思います。

C-Aufish:
がんやプリオン病などの難病の特効薬、ウイルスタンパクを特異的に破壊する抗ウイルス薬の開発などを通じて、医療・衛生水準を上げ、世界的にQOLが大きく向上するようなイノベーションテクノロジーを創出したい。
化学(主に有機化学)・生物(主に細胞生物学と遺伝生物学、生化学)の分野に興味を持っている。

アワードに応募するまで「STEAM教育」という言葉をに聞いたことはありますか?どんなイメージを持っていましたか?

Change of Perspective:
聞いたことはありましたが、アワードに応募するまで具体的内容を知りませんでした。聞いたことある程度のときは、最新の海外の教育か何かかと思っていました。
しかし、調べてみると問題解決能力や創造性、コミュニケーション能力など様々な要素が必要なものだと知り、なんとなく難しさと目新しさを感じました。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
私たちは「STEAM教育」という言葉を聞いたことがありませんでした。初めて「STEAM教育」と聞いた時には、難しそうだというイメージがありました。しかし、蓋を開けてみると科学(Science),技術(Technology),工学(Engineering),アート(Art),数学(Mathematics)の頭文字をとったものだとわかり、初めて見たときよりは難しそうだというイメージは薄くなりました。

今後、チャレンジしてみたいことがあれば教えてください。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
今後は、探究活動だけではなく、勉強や部活などもより一層一生懸命に取り組んでいきたいと考えています。また、進路はまだあまり考えていませんが、勉強だけではなく中学、高校時代でしかできないような体験がたくさんあると思うので、青春を楽しもうと思います。

C-Aufish:
自分が所属する「マリエント『ちきゅう』たんけんクラブ(高校生以上のメンバー)」はJpGU(日本地球惑星科学連合)にチームとして参加している。
私は将来研究者になりたいと考えている。まずは、私も一度学会の雰囲気を味わってみたい。市内に大学がなく、講義等を対面で聴講することが難しいため、引き続きEdXなどを用いてさらに専門的知識を深めていきたい。
将来の進学先については、海外の大学・大学院も視野に入れながら、今後も精進していきたい。

次回に向けた意気込み、もしくはこれからアワードに応募する学生の皆さんに一言お願いします。

Change of Perspective:
アワード応募は、自分自身の能力やアイデアを評価してもらう素晴らしいチャンスです。しかし、結果がどうであれ、それはあくまで一つの指標に過ぎません。あなたがアワードに応募する
ことで得られるものは、それだけではないと思います。自分自身が何を成し遂げ、どのように成長したかを振り返り、自分自身の可能性を広げることができます。自分自身の想いや周りの意見や考えを大切にし、自分らしい作品を作り上げてください。そして、一歩踏み出す勇気を持って挑戦してください。

中学Ⅱ年環境ゼミ⑥:
突然ですが、皆さんはなぜ本アワードのSTEAMに取り組んでいるのですか?きっとこれからの社会をより良い方向へ動かしていくためだと思います。決して何かの賞を受賞することや、先生や親などに褒められることを本当の目的としてはいけないと考えています。もちろん、私たちがこのような素晴らしい賞をいただいたことは非常に嬉しい限りではあるのですが、これは普段の活動がたまたま評価されただけです。あなた方が行動すれば、日本の未来も違ったものになるかもしれません。頑張ってください。

C-Aufish:
一年目(昨年)は論文1本、今年(二年目)は2本。来年は3本論文を投稿し、次回こそ金賞を取ってやる!!という強い思いで頑張りたい。また、専門的知識が少ない分野についても論文作成にチャレンジしてみたい。

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